渋谷事変・終 /前編

あーあ、渋谷ここに来てからロクなことがないなぁ。そりゃそうだ。呪詛師である夏油傑――の肉体を利用している何者かの企みでこんなことになっている。

真人――遍殺即霊体は呪霊として進化を遂げた。けど、虎杖くんに負けた。

余計な手出しは邪魔になるから、私は横で見ているだけだったし、実際それが正解だった。

逃げる真人の前に姿を現したのは夏油。助けてあげようか、なんて言っていて――

「真人!!」

右手を向けて、虎杖くんと話していた夏油のすぐ横にいる真人を呼んだ。

夏油のやろうとしていることはわかっている。多分、真人も。

だから、私が真人を取り込んだ。

「……やっぱりね。君はそうすると思っていたよ」

もとより私は夏油の味方ではないし、真人についた方が面白そうだからそうしていただけで、高専の敵になったつもりはない。高専からすれば私は敵になったようなものだろうけど。あー、でも、呪霊のみんなは好きだったな、生きてるといいんだけど、やっぱり厳しいかな。

正直うまくいくとは思ってなかった。降伏だってダメ元な上に、真人が呼んだだけで察してくれるかも怪しかった。でも夏油に真人を取り込ませちゃだめだと思ったし、それは私が嫌だ。

「つらいだろう? 降伏したとはいえ、格上の呪霊を取り込むのは。私も"知っている"よ」

夏油に話しかけられているのはわかる。でもそれに言葉を返す余裕なんてなくて、初めて特級呪霊を取り込むことで、私の頭も体も精一杯だった。

気持ち悪いのに吐き出すこともできない、視界はぼやけるし、とにかく苦しい。咳込みながらえずくだけだった。

「真実先輩……!!」

血塗れになった虎杖くんがこっちに来ようとするのを夏油は言葉で制止する。

「続けようか、これからの世界の話を」

HOME