七海編 /中編
七海が買い物を終えて部屋に戻ると真実はすでに風呂から上がっていた。
「あ、おかえりー。お湯はり直しておいたからどうぞ〜」
「ありがとうございます。あとこれ、いりますか?」
「え、いいの? ありがと! ってこれ絶対やばい味じゃん!」
七海はついでに真実の分の飲み物を買っていた。地域限定のゲテモノサイダーだ。
「あとで感想聞かせてください」
「うん……ずんだサイダーか……がんばるよ……」
風呂場に移動した七海は、部屋から響いた真実のむせる声を聞いて少し笑った。
*****
風呂から出た七海が最初に目にしたのは山だった。2つの山、いや、谷もある。そして慌ててそれを隠す真実の両手。
「何故服を着ていないんですか」
反射的に後ろを向いた七海は至極当然の疑問を投げる。
「いや、ずんだサイダーこぼしちゃって……」
「それは――すみません、そんなに強烈だと思わず」
「ううん、悟へのお土産が決まったからありがたい」
もう着替えたから大丈夫、という真実の声に七海はためらいつつ視線を戻した。
「あ、さっき調べたんだけどね、牛タンサイダーっていうのもあるんだって。傑にはこっちにしようと思うんだけどどうかな?」
「どうと言われても」
まず任務を無事に済ませなければ土産もなにもないだろう、と七海は思うが、真実との合同任務で失敗するビジョンが見えないのも事実だった。
「硝子と灰原くんには牛タン弁当にしよ」
「それは明日土産屋で決めたほうが良いのでは?」
「あ、それもそっか」
「明日も早いですから、そろそろ寝ましょう」
「えっ、トランプしないの?」
「しません」
「珍し〜」
「普通です」
こうして話していて気づくのは、やはり彼女が五条と同じタイプだということだった。煽ってこないだけマシだが言ってる内容はほぼ同じレベルである。
*****
「じゃあ電気消すね、おやすみ」
「おやすみなさい」
七海と真実は並んでベッドに横たわっている。
電気を消した真実はものの数分で眠りについたが、七海は一向に訪れない眠気に頭を抱えていた。
原因は言わずもがな真実だ。
七海が気付いたときには、真実の抱き枕になっていた。
ただ横に並んでいたときはそれなりの眠気にうとうとしていた七海だったが、こうなってしまってはもはや身動きも取れない。物理的すぎる金縛り状態だった。
五条や夏油がよくネタにしている豊満な胸で七海の腕は挟まれ、手のひらに至っては左右の太ももの間にある。動いたら即セクハラだ。いや、これは逆セクハラなのでは?