おともだち
「まーひとさん! あーそびーま――うわぁっ、人がいる!」
「えっ!? ひ、人っ!?」
「あはは! 息ピッタリだね2人とも」
いやどういうこと。
いつも通り、というほど頻繁ではないけど、真人さんのアジトを訪れると同年代くらいの男子がいた。そして同時に驚いた。
「もう、笑わないでくださいよー」
「えと、君は……? あ、僕は、吉野順平です」
「深山真実です。よろしくね吉野くん!」
「あ、はい……」
戸惑い気味だ。っていうか吉野くんは真人さんが見えてるんだ。
「吉野くんは呪詛師なんですか?」
「違うよ。順平は呪いが見える一般人」
呪いが見えてる時点でただの一般人ではないような。
「真実は呪術師なんだけど、俺のお友達なんだ。まあ仲良くしてあげてよ」
「そうなんですか?」
「えっ、私もそれは初耳です」
真人さんの中で私はお友達認識だったのか、吉野くんにはそう言ってるだけなのか判別しづらい。
「私はここでたまに真人さんの実験のお手伝いとかしてるんだ」
「呪術師なのに?」
「うん、縛り――まあ、契約みたいなのがあってね。あと私が真人さんと一緒にいるのバレるとまずいから、吉野くんも外では見なかったことにしてください!」
「わ、わかりました」
「ありがとう! あ、そういえば吉野くんは高校生なんですか?」
「高2だよ。学校にはあまり行ってないんだけど。えっと、深山さんは?」
「私も高2です」
「えっ、同い年!?」
「そんなに驚く……?」
確かに背は低いけど、と思っていたら真人さんが後ろからもたれかかってきた。
「俺にも構ってよ」
「重っ、今吉野くんと話したいんですけど〜」
「仕方ないな、じゃあ後でたくさんシようね」
「いつもしてるでしょ。え、実験の話ですよね? なんか怪しいニュアンスが……」
「さぁ、どうかな。――ああそうだ、順平にもアレ、見せてあげるよ」
真人さんは適当にはぐらかした後、吉野くんを誘った。"アレ"って、実験中の人間を見せるつもりなんだろうか。
「1人の人間をどこまで大きくできるかの実験。逆にそっちはどこまで小さくできるか試してみた」
「これが、人間……?」
トンネル内に鎮座している特大サイズのスライムみたいな、青くてでろでろになった人間。意外にも平静を保っていた吉野くんは、さっき渡されたばかりの小さくされた人間を見ていた。
「吉野くんはホラーとかスプラッタ系得意なの?」
「そういう映画は結構見るけど、どうだろう……これがもし僕の母だったら、取り乱して真人さんや深山さんを憎んでいたかもしれない」
「まあそうだよねー、私も同じだなぁ。知らない人だし、ぶっちゃけ関係ないもん」
呪術師的にはアウトだけど。いや、一応言い訳しておくと、私は相手が呪詛師でない限り人間を変形したことはない。ここにあるのは真人さんがやったものだけだ。
吉野くんはびっくりしたような表情でこっちを見ていた。真人さんの仲間だと思われてるだろうに、その反応は逆に私がびっくりだ。
「深山さんも、その、こういうことができるの?」
「できるよ。真実は俺と同じ術式を持ってるからね」
私が返事をする前に真人さんが答えた。私が言おうとしてたことをまんま言われてしまったので頷いておく。
それから吉野くんと真人さんは私が来る前にしていたんだろう話の続きをし始めたので、口を挟まずに聞いていた。真人さんと知り合った経緯はわからないけど、どうやら吉野くんは誰かに復讐をしたいらしい。
正直、真人さんは吉野くんを弄ぶ気まんまんだと思う。いくら見た目が人っぽくても呪霊だし。でもこれ言っても今の吉野くんには通じなさそうだな。多分心酔してる。
「俺は順平の全てを肯定するよ」
ひどい呪霊だなぁ。