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「いつも練習はどんな感じでやってるんだ?」
「準備できたら各自で射込みだよ。いい感じのとこで坐射と立射で二手ずつ」
「なるほどな。で、お前ら2人は何遠慮してんだ? どんどん引けよ」
「別に遠慮なんてしてません」
雅貴くんを挟んで反対側にいる湊は、躊躇いつつも弓を取りに行った。私はまだ弽をしていなかったので、その場に腰を下ろす。
「コーチになるって、何で教えてくれなかったの?」
「サプライズだよ。湊にも言ってない」
「……もう教えてもらえないかと思った。悲しみ損」
「おいおい、そこは喜べよ」
雅貴くんは私の頭にポンと手を置いて撫でた。高さがちょうどいいのか、よく手を置かれている気がする。
もちろん喜んではいる。けど無駄に悲しんだし、泣いたのも恥ずかしいので言わない。
それに部活で雅貴くんに教えてもらえるのは嬉しいけど、夜多の森のときとは違って1対1じゃないのは少し残念だった。これはただのわがままだけど。
「……そういえば、海斗と知り合いだったんだね」
「ああ。昔、海斗が不良に絡まれてるところを助けたら、なんか懐かれたんだよ」
意外にも少女漫画みたいな出会い方をしていたことに、ちょっと笑いそうになった。というか、海斗が男子でよかった。
そんなことを考えている間に準備が終わったので、私も射込みを始めることにした。
*****
雅貴くんが湊の射を見ている間、後ろで静弥と海斗が何やら話しているのが聞こえた。
静弥は湊と雅貴くんの関係を訝しんでいるらしい。前から湊が弓道部に戻るきっかけについて考えていたようだし、それが雅貴くんだとわかって内心複雑なんだろう。多分。
私としては、中学のとき早気を少し軽く考えていた静弥に納得いってないところがあるんだけど。まあ、それは私が言っても仕方ないことだ。
「静華、何考えてるんだ?」
「え?」
「どこか集中できていないように見えたからな。何かあったか?」
「ううん、大したことじゃないよ。大丈夫」
「そうか? ……というか、道着が白だとなんか新鮮だな」
「え? ああ、そうだね」
桐先のときは練習用の道着は紺色で、白は試合のときだけだった。雅貴くんに射を見てもらうときもずっと紺色を着てたから、確かに新鮮かもしれないけど。
「えっ、道着って白だけじゃないんだ? 剣道は紺だったけど、弓道にもあったんだなぁ」
「ああ、試合だと白色って規定があったりするしな。練習着は学校や個人によって結構色々だよ」
「私の行ってた中学も練習着はみんな紺だったんだ。色の決まりはなかったんだけど」
「へぇ〜。紺色ってなんか強そう! そうだ、俺たちも紺色の道着に……」
私も先輩たちを最初見たときは漠然と強そうだなぁなんて思っていたっけ。
「いやいや遼平。わざわざ校名入りの道着作ったんだし、今更変えられないっしょ」
「あっ、そうだった」