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鳴宮が入部してきたこの日、かっちゃんの機嫌は最悪だった。けど、静華は相変わらずかっちゃんの扱いが上手かった。

静華はかっちゃんの目力にも怒声にもビビらないし、なんなら若干ズレた感覚で言い返してる。

かっちゃんもそれが新鮮なのか、静華にはよく話しかけてる気がするし。単純に弓の腕前で判断してるのかもしれないけど。

静華の話をしているときのかっちゃんは、以前聞いた"マサさん"という人の話をしているときと似たテンションだ。

マサさんは年上の男らしいから聞き流せていたけど、静華は同級生でかわいい女子。いいなあ、オレが先に声かけたのになあ、なんてつい妬んでしまうこともある。

まあ、かっちゃんに静華を落とせるとは思えないから、邪魔なんて絶対しないけどね。

「で、かっちゃんはいつになったら静華に名前で呼んでもらえるようになるのさ?」

「はぁ!?」

部活後の帰り道、そう聞いてみたらかっちゃんの顔は面白いくらい真っ赤になった。

「"部長と混ざるから"ってそれらしい理由があるのに、未だに竹早竹早って。たまに部長も反応してるっしょ」

「んなこと言われたって……」

「別に気にしないと思うよ。っていうか、かっちゃん以外全員名前呼びだし」

静華は幼馴染が男だらけなせいか男子のノリに慣れてるし、距離の近さや呼び名にあんまりこだわりがないみたいだった。かといって女子部員の中で浮いてるわけでもなく、いつの間にか4人でお話してるとこもよく見かける。

「俺はそういう軟弱な動機で竹早と話してんじゃねえんだよ。アイツはガチで弓道やってて実力も実績もある。同年代にあんな奴がいたら燃えんだろ」

「竹早じゃなくて静華ね。ほら言ってみなって」

「何でそんなに名前で呼ばせたがるんだよお前は」

「いやいや、どう見ても"俺だけずっと苗字呼びなの寂しいよ〜"って感じっしょ」

「適当言ってんじゃねえ!」

はっきり否定しないあたり、かっちゃんはほんとに不器用だよね。

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