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中崎弓具店。
本村先輩に紹介されたのは、雅貴くんに連れられて何回か来たことのある場所だった。
品揃えが良くて、店主の中崎さんのアドバイスも的確。雅貴くんは学生時代から通っていたらしい。
「お、雅貴んとこの嬢ちゃんじゃねえか。って、なんだ、今日は男連れか! 雅貴のやつが泣くぞ」
「こんにちは。そういうんじゃないです」
「相変わらず動じねえなぁ」
よく考えたら雅貴くんとしか来たことがなかったけど、このノリは誰が相手でも変わらないようだ。
「静華、こっちも知り合いなの!?」
「うん」
「何で言ってくれないんだよぉ!」
「いや、タイミングなくて」
「それにマサキって誰!?」
「私の師匠」
「……俺、湊だけじゃなくて静華のことも何も知らなかったんだ……」
遼平はうなだれた。
「大丈夫かそいつ」
「大丈夫です、遼平ポジティブなので」
「そうか? で、今日はどうしたんだ?」
「あのっ、俺、早気の治し方を調べてて! 経験者の人にここならわかるかもって聞いて来ました!」
秒で立ち直った遼平はさっきと同じように中崎さんに理由を話した。
「なるほどな。――まあ、方法がないわけじゃねえ」
「ほんとっすか!?」
中崎さんはカウンターの下から紙の束を取り出して見せた。
「俺の知り合いが早気になってから治るまでに書いた記録だ。こいつを貸してやる」
「! ありがとうございます!」
「だがタダではやれねぇ! 条件がある。お前ら2人、高校を卒業するまで最低3年間、弓具は全てうちで揃えること!」
「誓います!」
「私も!」
「よし。くれてやる、持ってけこんちくしょう!」
「あざーす!!」
相性の良かった遼平と中崎さん。驚くほどスムーズに話が進み、早気克服までの記録を受け取った。
実は雅貴くんの私物をコピーしたものなので私には見覚えがありすぎたが、遼平はさっそくページをめくっていた。
湊の早気について相談したときに一度貸してもらったことがある。又貸しはできないから、内容を必死で覚えたものだ。
「静華ちゃん、アレ、雅貴の見たことあんだろ?」
「はい。でも、遼平がやることに意味があるので」
「お前さん……ほんとに高1か?」