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放課後。
結局小野木くんは湊を認めたのかどうかを七緒から聞き、小野木くんのツンデレ加減を思い知った。
仲間のことで本気になれる遼平のことは認めてるから、遼平が認めた湊のことも一応は認めてやるらしい。
そんな小野木くんは一足先に部活へ向かったので、七緒と一緒に弓道場へ歩いていた。
「小野木くんも大変だね」
「わかってくれる? かっちゃん、悪い子ぶりっこなんだ」
「まあ、ほっとけない感じはあるよね」
「静華がかっちゃん初の女友達になってくれて良かったよ」
「七緒、もう保護者目線じゃん」
「うん。オレはかっちゃんのために弓を引いてるからさ」
七緒は少し困ったような顔でそう言ったが、すぐにいつもの笑顔になって話を変えた。
「静華は? やっぱ鳴宮?」
「違うよ。弓道を始めたのは湊がきっかけだけど」
昔は湊や愁、そして先輩に早く追いつきたくて練習してたけど、今はもう別に理由がある。
「単純にやってて楽しいから」
「うわ! かっちゃんと同じ弓バカ!」
「えっ、いやそこまででは……」
弓を引くのが楽しいのは本当。だけど今追いつきたくて、認められたいと思うのはやっぱり雅貴くんだった。
七緒には申し訳ないけど、雅貴くんのことは独り占めしたいから内緒にしておく。
*****
弓道場に着くと、小野木くんが湊に絡んでいた。
七緒に聞いた通り、とりあえずは認めてやるということで、団体戦の仲間として一緒にやっていけそうだ。
「雨降って地固まる、じゃな」
「まだゆるゆるの地盤ですけどね」
小野木くんを茶化しに行った七緒を見送ると、トミー先生と静弥の会話が聞こえてくる。
「おい! ちょっとこっち来てくれ、竹は……静華!」
道場内が静まりかえった。
静弥と混ざるからとみんな早々に名前呼びになる中、頑なに竹早と呼び続けていた小野木くんが突然名前で呼んできたのだ。いや、そんなに気にすることでもないんだけど。
「かっちゃんファイト!」
「うるせえぞ七緒!」
「あれ、小野木って静華のこと名前で呼んでたっけ?」
「鳴宮の天然は今いいっしょ!」
「おれは別に天然じゃない」
「いーじゃん、みんな仲良くしようよ!」
天然が2人いる、もうすでにすごく仲良しに見える男子たち。
静弥も加わればいいのに。私からすれば小野木くんよりよっぽど不器用だと思う。
一応呼ばれたのでその輪に加わった。
「どうしたの、海斗」
「なっ……!」
突然の名前呼び返しをすると、顔を真っ赤にして言葉を詰まらせた。
「かっちゃん照れすぎ。静華はほんとに呼び方とか気にしないタイプっしょ」
「うん。でもよそよそしいから私も名前で呼ぶね」
「そうしてくれると助かるよ、うちのかっちゃんうぶだからさ」
七緒が海斗をイジって怒らせ、いつも通りの雰囲気を取り戻した。
湊も遼平に肩を組まれながらそれを楽しそうに眺めている。
「静弥もこっち」
「えっ、ちょっと」
トミー先生の横で見ていた静弥の手を引っ張って、湊の隣に立たせた。
団体戦までこのままうまくいってくれるといいなと思い、静弥の抗議を無視して妹尾たちのところに合流する。
「男子ってなんでこう、もめるんだろうね」
3人は呆れたようにそう言ったけど、湊の入部と海斗との和解を歓迎してくれていた。