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今日は腰の調子が良いらしく、トミー先生も久々に弓を引くとのことだった。
「でもトミー先生が入るとなると、今度は逆に女子チームが人数オーバーになっちゃいますよ?」
「あっ、ていうかそれだと女子チームは有段者が3人もいることになるっしょ! オレたち不利じゃない?」
七緒がハッとしたように挙手しながらそう抗議した。
「3人? 森岡先生と俺は確かに段位を持っているが……」
「あれ、コーチ知らなかったんですか? 静華は確か参段だったよね?」
「あっ、うん、そうなんだけど……」
審査を受けていたことは雅貴くんに言っていなかったけど、こんな形でバレるのは想定外だった。
「そうだったのか。ーー静華、それについては後でしっかり聞かせてもらうからな」
「……はい」
雅貴くんは笑顔だったが、声を潜めてそう言われ、頷くしかなかった。圧がすごい。
「そしたら、俺が抜けるか」
「えっ、雅貴くんが抜けるなら私が抜けるよ! 私は試合に慣れてるし……見取り稽古じゃだめですか?」
トミー先生の射はもちろん、雅貴くんの射も見たかったから自分が抜けると主張してみた。完全に私情だけど、試合慣れしているのは本当だし、嘘は言っていない。
「人の射を見て学ぶことも重要じゃ。静華くんがよければ、わしは構わんよ」
「まあ、森岡先生がそう仰るなら……わかった」
七緒もとりあえずこれで納得したようだけど、よく考えたら私よりトミー先生と雅貴くんの方が上手いのは明らかだし、男子の勝率は下がるのでは……?
とはいえ下僕は私も嫌なので何も言わないでおく。それに、そもそも今のちぐはぐな男子のチームワークでは、女子の即席チームにも勝てるか怪しいだろうし。
ともあれ、両チームとも立ち順を決める作戦会議タイムとなった。
「そういえば、"鬼の射手"ってどういうことですか?」
「鬼より強いってことさ」
「大昔の話じゃよ」
教士六段の鬼の射手・トミー先生と雅貴くんを交えた女子混成チームは、男子チームとは対照的に和やかだった。
「ああ、そうだ。立ち順は静華が決めてくれるか?」
「え、私? じゃあ……大前は妹尾、二的が乃愛、中がゆうな。トミー先生、雅貴くんの順で」
「ふむ。良い采配じゃよ静華くん」
「ですね。あいつらも、これくらいスムーズに決められたらいいんですが。ーーお前らー、あと1分で決めろよー!」
笑いながら男子チームを見る雅貴くん。
そして雅貴くんに急かされて慌てる男子たち。結局、大前が七緒、二的が遼平、中が湊、四的が静弥、落が海斗という立ち順に決まったようだ。
じゃんけんで決めたのかな。