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いまだ如月くんにおちょくられている小野木くん。
その光景はわりとおもしろいから見ていたくもあるけど、今はそうもいかない。
「小野木くん」
「あ? 何だよ」
「かっちゃん、"あ?"はないっしょ」
「それはいいんだけど。……小野木くん、早気になったことある?」
「はぁ? ねえよ。だったらなんだよ。お前もあの腰抜けを庇おうってのか?」
小野木くんはイラついた様子で答えた。
「庇うよ、幼馴染だもん。私もずっと早気治すの手伝ってたから。……治ってないけど」
小野木くんが反論する前に私は言葉を続けた。
「早気は手抜きとは違うよ。だから湊のこと、あんまり責めないでほしい、だけ。それに、責められたら余計に悪化する。お願い」
「っ、俺がムカついてんのは、アイツがふらふらしてるからだ! クソッ」
小野木くんは悪態を吐いて、男子更衣室に行ってしまった。
「あ、ちょっとかっちゃん! ごめんね静華、かっちゃんがーー」
「ううん。こっちもなんか、説教くさくなっちゃったし」
「静華は悪くないっしょ。かっちゃんにはオレからも言っておくから」
そう言って如月くんも更衣室へ入って行った。
「ごめん静弥、ケンカになった」
「いや……小野木にも伝わったと思うよ、静華の言いたいこと。むしろ静華がはっきり言ってくれてよかった」
「そうかな。じゃあ、いっか」
「うん。ほら、帰るよ、遼平も。トミー先生、今日はありがとうございました。お先に失礼します」
「ああ、皆気を付けて帰るんじゃよ」
「あっ、2人とも置いてかないでー!」
気まずい空気の中でずっとオロオロしていた遼平も、走って追いかけてきた。