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風舞の待機場所に戻ると、すぐに男子たちは射場に向かった。
試合中、急に体調を崩したことでだいぶ心配をかけてしまったけど、雅貴くんが先に連絡してくれていたのと、今の私の様子を見てみんなは一安心だと言ってくれた。
雅貴くんも引率として男子と一緒に行ったため、女子だけで客席に向かう。
「本当に大丈夫ですの?」
「うん、もう大丈夫。心配かけてごめん」
「静華は悪くないよ。ともかく、個人戦、優勝おめでとう」
妹尾のその言葉に、私はすぐに返事ができなかった。
雅貴くんにも言ったように、決勝の射に納得いっていないから。というか、最後の一射に関しては、無理矢理あてようとしてしまったことを後悔していた。競射だからあてるのが目的なんだけど。
とはいえ、せっかく祝ってくれているのに、私が謙遜ばかりしていては妹尾たちも嫌だろう。
「ありがとう。男子も勝てるといいね」
「うん。でも、みんな落ち着いていたし、大丈夫!」
「そうですね。……始まりますわ」
第一射場に三影、第二射場に風舞が入場し、団体戦が始まった。
*****
男子は無事1回戦を突破した。
静弥と海斗は皆中、湊と七緒は三中、遼平は羽分けという結果だった。遼平はあたり本数を気にしていたようだけど、全く悪い結果ではない。
大会のプログラムを見ると、辻峰と当たるとしたらおそらく3回戦目。県大会を優勝している辻峰の試合も見ておきたいところだ。
……永亮くんの射は綺麗だった。
風舞や桐先とは違う斜面打起こし。中学時代にそれを初めて知った私は、当時、しばらく永亮くんの射込みをじっと見ていたらしくーー自覚はなかったけどーー何か用かと聞かれたのが彼との最初の会話だ。
私はそう聞かれて、バカ正直に"先輩の射がかっこよかった"と答えた記憶がある。
湊や愁と一緒にいないときだった。永亮くんは湊と愁のことを知っていたらしく、"
今となっては意図のわからない誘いだったなと思うけど、昔は普通に親切な先輩だと思って教えてもらいに行っていた。それこそ、湊たちがいるときでも。
当時の私は、実はそれほど弓道に対してモチベーションが高くなかった。湊に誘われて、静弥がやるから一緒にというだけで。そこで、初めてちゃんと弓を引きたいと思うきっかけになったのが永亮くんの射だ。
永亮くんは厳しかったけど、教えるのが上手かった。
それにしても、永亮くんはどうして桐先をやめたんだろう。……なんて、考えたところでわかるわけもないんだけど。