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1回戦を無事終えたオレたちは、桐先の試合を観に来ていた。
試合開始前に雑談をしていると、他校に湊と静弥の中学時代の先輩がいることが発覚した。
辻峰高校――県大会優勝校らしく、選手は2、3年生だけで構成されている。
オレはライバルとしてどんな学校かを考えていたけど、湊はいつも通り弓バカだ。先輩とまた一緒に引けるのが楽しみだって。
かっちゃんもいつも通り、そんな湊にツッコミを入れている。
そんなことを話しているうちに、試合が始まった。
桐先の初戦の相手は野戸高校。可もなく不可もないところだし、普通に桐先が勝つだろう。
相変わらずの高い的中率。だが、よく見ると選手は双子の1人が抜けて別の人が入っていた。それに、何があったかわからないけど双子は早打ちをやめていた。
桐先の結果は19中。強すぎっしょ。
*****
桐先の試合が終わった後、オレたちは待機場所に戻ろうとしていたが、かっちゃんはプログラムを片手に足を止めている。
あー、これは、辻峰の試合が見たいんだな。
「湊と静弥が評価してんだぞ、強えに決まってんだろ。だったら、研究しとかねえとダメだろうが!」
とのことだ。
別行動していた遼平も合流して、移動することになった。
「あれ、何してるの、こんなところで」
かっちゃんを先頭に歩き始めると、後ろから声をかけられた。静華だ。
「静華。お前は元先輩の試合観に行かねえのか? 辻峰の」
「! 行くよ。飲み物買ってから行こうと思って」
元先輩、と言われた静華は一瞬驚いた表情を見せた。でもそれはすぐにいつもの様子に戻り、返事も変わったところはない。
「おっ、じゃあオレたちと一緒だね」
「みんなも行くの?」
「当たり前だろ、これから当たるかもしんねえし」
「そっか」
……やっぱり少し違和感を感じる。体調はすっかり良くなったみたいだけど、それとはまた違う感じだ。
「あ、そういえば、静華って二階堂先輩と仲良かったよな?」
湊が天然爆弾を落としてきた。静華の表情は若干引きつっている。静弥は真顔で、何を考えているかわからない。
「いや、うん、多少は」
「おれ、さっき遼平と一緒にいるときに偶然会って、少し話したんだ」
「気さくな感じの人だったよね」
「そうだったんだ。――あ、もう始まっちゃうから急ご」
自販機で飲み物を買った静華は湊と遼平の背中を押して、会場へ向かった。
*****
観覧席に着くと、試合は始まったばかりのようだった。
「生で見るのは初めてだな。斜面」
辻峰高校は斜面打起こしの流派らしく、静弥が遼平に解説している。
「ねえ静華。元先輩ってどの人?」
「……」
「静華?」
「え? ああ、えと、大前」
静華はじっと辻峰の射を観ていた。辻峰の、というか、大前の元先輩。
辻峰の射はかなり独特だった。二的は大前とほぼ同時の離れ、なのに四的はゆっくりすぎる。落ちはそもそも射型がとんでもないことになっている。大前、中の選手だけが比較的まともな射に見えた。
「でもあたるんだよなあ」
体配はめちゃくちゃだったが、強い学校だ。