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ここ数日、七緒が部活を無断欠席している。

普通に来ていたときもなんだか海斗とギスギスしていたし、これは本格的にケンカかなにかをしたのかも。

同じクラスだし隣の席だけど、七緒は基本女子に囲まれているから、話しかけるタイミングといえば授業の直前直後くらい。

ーーというわけで、放課後、町をぶらつく七緒を追ってみることにした。

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一定の距離を保ちつつ七緒を尾行していたが、本当にぶらついているだけだった。時々お店に入ってみたりはするものの、買い物をするわけでもなく。

「そこのイケメンくん、ヒマそうだね。一緒に遊ばない?」

尾行に飽きてきたので、いっそ話しかけてみることにした。

「あー、ごめんね、このあと予定がーーって、静華!?」

"イケメンくん"と呼ばれて迷いなく振り向くってどうなの。イケメンだけど。

愛想笑いを浮かべて誘いを断ろうとした七緒だったが、声をかけたのが私だとわかると足を止めた。

「ちょっ、部活は!?」

「休んだ。あ、私はちゃんと雅貴くんに連絡してあるから」

「静弥じゃないんだ」

「静弥には今朝言ったよ。友達との予定が〜って」

「うわぁ、絶対それ嘘だってバレてるっしょ」

「まあまあ、1回まではセーフだから。しつみたいなもんだよ」

「えっ、失関係あった……?」

テキトーに喋りすぎて七緒が真顔になってしまった。

ともあれ立ち話もなんなので、七緒と近くのカフェに入ることにした。

「それで、静華はオレに何の用?」

「え、別に何もないよ。どこ行ってるんだろうと思ってついてきたけど、その辺ぶらついてるだけだったから飽きて話しかけちゃった」

「正直だねぇ。かっちゃんのことじゃないんだ」

「それは私が口挟んでもどうもならないでしょ?」

とは言ったものの、ケンカの原因は海斗が地方大会で調子を崩した理由についてだと察しはついてた。

湊は自分のせいだったと気づいて、また練習を頑張っているけど。海斗は相変わらず大前の自分の責任だと言い張っていた。

「じゃあ、口挟まなくていいからさ、オレの話聞いてくれる?」

「うん」

「かっちゃんってさ、ドMなんだよね」

「あー、わかる」

「わかる? やっぱ、静華はかっちゃんのことよく見てんね」

「だって、いつも射形とかだめなとこ指摘すると嬉しそうだもん」

「それは単に、静華とかマサさんに見てもらえるのが嬉しいだけだと思うけど……」

それから七緒は、海斗に対する思いを口にした。と言っても、多分私が聞いたことなんて、七緒が本当に思っていることのほんの一部なんだろう。

不器用な海斗をフォローすることが多い七緒だけど、弓においては海斗を立てるようなことはしない。

キラキラ王子の七緒も、根はしっかり男の子だ。

「かっちゃんは、全部背負おうとしすぎなんだよ」

そう言う七緒は、いつもの軽い調子ではなくて。

「それ、海斗に直接言った?」

「言ったよ。でもあいつ、意地っ張りなんだ」

「あいつって。七緒もそんなこと言うんだね」

「そりゃあ……」

七緒は少し口を尖らせて、言葉を止めた。それからふぅ、とため息を吐く。

「あーあ、しゃべりすぎちゃったっしょ。女の子にはかっこ悪いところ、見せたくなかったんだけどね」

やれやれといったように笑った七緒。感情のコントロールうますぎない?

「別にかっこ悪くないよ。てか、1人で解決できないことを無理して背負って、勝手にしんどくなってる方がダサい」

「めちゃくちゃ言うじゃん……。それ、もしかしてかっちゃんのこと?」

「あ、いや、個人攻撃じゃなくて! でもそういうときって、人に相談する方が難しいし、それができる七緒はすごいと思うよ」

「……静華って、意外と遼平タイプ?」

「は?」

「照れるなぁ。オレを照れさせる女の子なんて、なかなかいないよ」

「全然照れてるようには見えないけど」

七緒は肩をすくめた。

「にしても、さっきの言葉、妙〜に実感がこもってたっしょ」

「え。うん、まあ……私は昔相談とかできなくて、勝手にしんどくなってた側だから」

「それって、詳細聞いてもいいやつ?」

七緒の表情は真剣だった。隠してるわけじゃないし、七緒になら話してもいいか。

「うん。……中学のとき、先輩に斜面打起こしで習ってたって言ったでしょ?」

頷いた七緒は、続きを促す。

「なんていうか、その……先輩と疎遠になってから、斜面を教えてくれる人なんていなくてさ。一緒に引いてたのも永亮くんだけだったから、続けられなくなっちゃったんだよね」

そもそも桐先は正面の学校だし、斜面はただの個人練って感じではあったんだけど。

「正面が嫌なんじゃなくて、斜面が良かったの。でも、教えてくれる湊とか愁にはそういうの言えなくてさ。……静弥もね、多分、永亮くんのことそんなに好きじゃなかったっぽいし」

七緒は何も言わずに聞いていた。

「――って、ちょっと待って。七緒の話聞くつもりだったのに、自分の話しちゃってるじゃん私」

「いいって。オレが聞きたいんだし」

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