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部活後、男子5人で帰り道を歩いていると、話題は当然というべきか静華のことになった。
「静華、大丈夫かなぁ」
「遼平。それはもう、オレらは見守るしかないっしょ?」
「そうだけど!」
遼平は良いヤツすぎる。
「静弥は何か聞いてねえのかよ?」
「特に何も。家じゃそんなに弓の話はしないんだ」
「じゃあ何の話してんだよ」
「そうだな……クマの散歩いつ行くかとか、エサのストックが切れそうだとか」
「ペットの話しかしねーのかよ!?」
いやいや、かっちゃん、あしらわれてるだけだって。
しかし静弥はふざけるのをやめて、言葉を続けた。
「はぁ……湊にはこの前言ったけど、正直言って、僕は滝川さんとは馬が合わない。つまり、静華と滝川さんも合うわけがないんだ」
「ちょ、静弥……!」
「うーわ、それ、ちょっと納得しちゃったっしょ」
相性が悪いとは思わないけど、はたから見ていて、静華はマサさんに振り回されているようにも感じていた。当然、本人たちにそんな気は全くないんだろう。
静華とマサさんは元々仲が良かったけど、なんとなく、県大会前から少し雰囲気が変わった。具体的に何がってわけじゃないけど。
あれはどう考えても両想いだし、お互いそれを知ったうえで進展していないんだと思う。それはマサさんがちゃんと常識ある大人だってことだから、安心要素ではあるんだけどね。
ーーで、そんなことはみじんも察していないであろうかっちゃんと遼平は、案の定慌て始めた。
「じ、じゃあ、本格的に流派変えちゃったり……!?」
「何でそうなるんだよ!」
「ていうか、静華は元々辻峰の先輩に教わってたって言ってたし、流派変えじゃなくて流派戻しなんじゃ……?」
「それは最初だけだろ? 桐先自体は正面だろーが!」
「はいはい2人とも、とりあえず落ち着いて」
「「七緒は落ち着きすぎなんだよ!」」
「わお、息ピッタリだね。大前と二的は、息合い習得までもう少しかな〜?」
「七緒……」
湊に呆れたような視線を送られた。ヒートアップした場を和ませようとしてるのに、ちょっとショックだ。