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「藍、服を着なさい」

「えっ、着てるんだけど……」

シャワーを終えて出てきた藍は、キャミソールにホットパンツという出で立ちだった。

「これしか持って行ってなかったから、どっちにしろ部屋行かないと服ないよ」

「いいのか、俺がムラムラしても」

「いや自制してよ、大人なんだから。ていうか妹相手にムラムラしないでよ」

痛いところを突かれた。

「くっ……いいからTシャツとか何か着てこい。髪乾かしてやるから」

「はぁい」

いつもより素直だと思ったら、若干眠そうにしていた。合宿の疲れもあるだろうし、無理もないか。

「雅貴、出前取るぞ。藍も疲れてるみたいだし、飯作らせるのもかわいそうだろ」

「ああ、頼む」

「藍ー、寿司とピザどっちがいい?」

蓮がそう聞くと、藍は寝室から顔を覗かせて答える。

「蓮兄の好きな方」

「じゃあ寿司だな。ピザ食いたかったら両方取るけど、いいのか?」

「蓮兄と同じのがいいー」

藍はまだ着替えておらず、なのに戻ってきたと思ったらそのまま蓮の腕に抱きついた。俺はすぐにそれを引っぺがす。

「お前も自制しろ」

「マサ兄のケチ……」

諦めて大人しくなった藍は着替えに戻る。

「"マサ兄のケチ"、か……案外、悪くない響きだな」

「お前も懲りないな。ーーあ、藍って寿司はサビ抜きでよかったか?」

「ああ。ワサビの辛さに悶えるところを見たければ別だが」

「はいはい、サビ抜きね」

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