静弥と日課

「はあ〜……」

「おはよう藍。朝からずいぶん深い溜息だね」

「静弥、おはよう。雅貴がちょっとねー」

「ああ、滝川さんか」

後ろの席の静弥と話すのは日課のような感じだ。

今日も朝からナチュラルにセクハラをかましてきた雅貴。もう今更だし大して気にしてないからいいんだけど、びっくりするし疲れるものは疲れる。

「おつかれさま」

「そんな他人事みたいに」

「他人事だからね」

「そうだけど。あっ、そんなことより数学の宿題答え合わせしよ。今日当てられそう」

「いいよ」

持つべきものは頭の良い友達だ。勉強は苦手じゃないけど、静弥の方がはるかに賢い。

「やった、ありがと。ーーあ、湊おはよう。静弥の宿題一緒に写そうよ」

「いやおれは……」

いつもならなんだかんだで一緒に答え合わせをしていた湊だったが、今日は微妙な表情で微妙な返事をした。

「こら滝川! 堂々とカンニングするんじゃない!」

湊の微妙な表情の原因はこれだった。

数学の先生が早くも準備に来ていたようで、誘いに乗ったら怒られるとわかったから断ろうとしたんだろう。

「あはは、ごめんなさいー」

カンニングじゃなくて答え合わせなんだけど……とは思いつつ、反論すると面倒なのでとりあえず反省しておく。

クラスメイトにも笑われたし、宿題は当てられるしでまた疲れてしまった。

「もう全部雅貴が悪い」

「そうだね。全部滝川さんのせいだ」

「うわ、すごい笑顔」

静弥って、もしかして雅貴のこと嫌い?

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