海斗を応援
※先行上映で見た記憶をもとに作成しています。
※地上波での放送後内容を大幅修正する可能性があります。
【海斗視点】
県大会を終えた俺たちは、全国大会に向けてさらに気合いを入れて練習していかなきゃいけねえ時だ。
なのに、学校ではスポーツ大会が行われる関係で部活停止となってしまった。俺はフットサルに出ることになっているが、マジでこんなことしてる場合じゃねえ。
朝からクラスの奴らと戦略を練っていたが、イマイチ身が入らない。
……というのは、ついさっきまでの話だ。
我慢できずに1人で弓を引いていやがった湊に巻き込まれて静弥に叱られた俺たちは、今日のスポーツ大会でMVPを賭けて競うことになった。
湊と静弥も俺と同じフットサルに出るというからちょうどいい。勝つしかねえ。
ちなみに七緒はバレー、遼平は剣道に出るらしい。
ついさっき、湊の弦音を聞いて弓道場に駆けつけると、そこには藍もいた。激しい運動はできない藍は暇だからと湊についてきたらしく、大会には出ないが公式応援団を自称していた。どう考えても非公式だろ。
ともあれ、次の試合は湊と静弥のクラスが相手だ。クラスの奴らと話していると、
「海斗ー、おつかれ!」
ジャージ姿の藍が現れた。
「藍! どうしたんだよ?」
「どうしたって、応援しにきたんだよ。応援団なので」
「1人だったら団じゃないだろ」
「おっ、七緒と同じツッコミ! さすがいとこだね」
「七緒のとこにも行ったのかよ」
「うん、七緒の方が先に試合があったからね。ファンの子が多くてすぐ撤収したけど」
七緒のやつ、こういうときばっかり運が良いんだよな……。って何考えてんだ俺は。
「……ん? お前、そういや湊たちと同じクラスじゃなかったか?」
「そうだよ」
これから戦う相手のくせに何で敵の応援に来てんだよ。
「クラスはクラスで応援するけど、海斗のことは個人的に応援しに来たんだからいいでしょ?」
「べっ……つに、いいけどよ……」
「じゃあがんばってね、海斗! 静弥が超怖い顔で見てるからもう行くね」
「お、おう、サンキュ」
藍は手を振って戻っていった。
あの調子じゃ弓道部全員を応援しに行ってるんだろうが、ああ言われて悪い気はしない。
「小野木てめえ! 滝川さんとどういう関係なんだよ!?」
「付き合ってんのか!?」
「やっぱ生滝川やばいな、良い匂いした」
クラスメイトが急に詰め寄ってきた。何でそんな話になってんだよ。最後のはただの変態じゃねえか、嗅ぐな。
「付き合ってるわけねえだろ。あいつは弓道部全員応援しに行ってんだよ」
「つか小野木、名前で呼ばれてんのずるくね」
「会話する気あんのか!?」
「いや俺ら滝川さんのファンクラブなんだけど、前に如月のファンみたいに何人かで話しかけに行ったらすげえ困らせちゃったんだよな。竹早にも睨まれるし」
「だから基本遠くから拝んでんだよ。竹早も怖えし」
「知らねえよ……」
つか静弥も何やってんだ。虫除けはありがてえけど。
七緒は寄ってくる女を上手くあしらっているが、藍はそうでもないらしい。