蓮と再会
【藍視点】
今日から2泊3日、夜多神社で風舞弓道部の合宿が行われる。
私の場合はただ実家に帰るだけみたいになるので、もう前日から神社の方に泊まっていた。
当日、最初にやってきたのは湊だった。
集合時間よりずいぶん早いと思ったら、雅貴に呼び出しを受けていたらしい。それはすぐ後に現れた海斗も同じだった。雅貴が行う矢渡しの介添えを2人がするのだという。
「おー、意外と着物似合ってるね」
「意外とってなんだよ。つーか、お前来るの早くないか?」
「確かに。神社の方には住んでないってマサさんに聞いたけど」
「普段はね。面倒だから昨日からこっちにいた」
「ずりい……」
ずるくない。
「あ、写真撮っていい?」
「何で鳴宮と一緒に写らなきゃいけないんだよ」
海斗が嫌そうな顔でそう言うと同時に、湊の視線が私の後ろを向いた。
「写真なら俺が撮ってやるよ」
懐かしい声が聞こえたと思ったら、頭にポンと手を置かれた。
とっさに振り向くと、そこにはしばらく会っていなかったもう一人の兄、蓮がいた。
「蓮!」
「おっと、相変わらずだな」
思いがけない再会。嬉しさのあまりつい抱きついてしまった。
「帰ってくるなら先に言ってよ!」
「サプライズだよ、サプライズ」
「雅貴にはもう会った?」
「ああ。さっき、そっちの2人と一緒にな」
「そうだったんだ」
湊と海斗を見ると変な顔をしていた。
「あ、そうか。マサさんのお兄さんってことは藍のお兄さんでもあるのか」
「マサさんにいつも文句言ってるくせに、お前もブラコンなんじゃねえか」
「蓮はセクハラしないし」
「「ああ……」」
雅貴に特に懐いてるっぽい2人でも納得したようだった。雅貴には反省してほしい。