きょうだい弟子-2
【二階堂視点】
桐先中学に入学した俺は、弓道部に入部した。
強豪校だけあって部員数は多いが、大半が中学から弓を始めているらしい。
しかし、幼い頃から練習環境が整っているのは限られた人間のみというのは知っていたが、同学年の新入部員に経験者が数人しかいないのにはさすがに驚いた。
ともあれ入部初日の今日は、部長からの挨拶や顧問やコーチの紹介という、軽いオリエンテーションで終わりそうだった。
人の名前なんてそのうち覚えるし、俺はそれを聞き流しつつ、愛生さんを探した。
叔父さんからは"かわいい子だ"としか聞いていないから、顔や背格好は知らない。だけど、副部長だと言っていたからすぐ見つかるだろう。
列の後ろの方にいるせいか、前に並んでいる役職者たちはよく見えない。こんなことならもっと早く来ればよかった。
そうこうしているうちに紹介は終わり、経験者と初心者で別れて説明を行うため、集合場所がアナウンスされる。
「初心者は僕と相沢さんのところ、経験者は本村くんと舞田さんのところへ集まってください」
部長が呼びかけると、部員たちはぞろぞろと移動し始めた。
舞田さん、と確かに聞こえた。舞田という名字は叔父さんの師匠と同じだ。絶対この人が愛生さんに違いない。
そう確信した俺は、集合場所に急いだ。
*****
本村と呼ばれたメガネの男子と、その横にいるポニーテールの女子。
間違いない、あれが舞田愛生さんだ。だって、かわいくて、すごく大人っぽかったから。叔父さんが言った通りの人だ。
経験者は俺を入れて4人、男女2人ずつしかいない。このままじゃ普通に男女で分けられてしまうだろう。
だからそうなる前に愛生さんに声をかけようとすると、
「……ねえ君、もしかして、二階堂って名前じゃない?」
愛生さんの方からそう聞いてくれた。
「舞田さん、知り合いなんですか?」
「んー、知り合いの知り合い。多分。――違った?」
本村先輩が驚いた様子で聞くと、愛生さんは首を傾げて俺を見た。
「違わない、です。俺、二階堂永亮って言います」
「あ、やっぱり。茂幸さんから聞いてるよ。てか、面影あるね」
「俺も、叔父さんから愛生さ――舞田先輩のこと、聞きました」
「そうなの? じゃあ話が早いね。――本村、二階堂は私が見るから、他の3人お願い」
「それは構いませんけど、ひいきはだめですよ」
「わかってるよ。でも経験者は先に射を見せてもらうんだし、流派で分けた方がいいでしょ」
「二階堂くんは、斜面打起こしなんですか?」
「はい」
俺を1対1で見てくれようとしていた愛生さん。内心舞い上がっていたら、本村先輩には少し呆れ顔をされたけど、愛生さんに見てもらえるならそんなことはどうだってよかった。
俺以外の経験者は正面打起こしだったから、無事3対1に分かれることができた。