@ 再、会

県大会予選 海斗にからむ菅原兄弟

急に2人の首根っこが掴まれる。


「スガセン&スガマン確保」

「「うわっ」」

「佐瀬りん先輩、パスです」

「ナイス竹早! おら行くぞ量産型ども」

「量産型って」

「ひっで〜」

先輩と思われる男に連行された双子。

「うちのチームメイトが失礼なことを言ってすみませんでした」

「よく言って聞かせますので、ここは収めて頂けますか?」

双子の代わりに頭を下げたのは、双子を確保した女子とメガネをかけた男子だった。

「いやいや、キミが謝ることじゃないっしょ? 気にしないでよ。オレたちも気にしてないから」

メガネの方に静弥が対応している間、七緒はちゃっかり女子に話しかけている。

「ならいいんだけど」

「オレは風舞高校1年の如月七緒。キミは?」

「桐先1年、竹早愛生。そっちの静弥とは双子で、湊と遼平は幼馴染。よろしく」

「え」

「はあ!?」

「愛生ちゃん!?」

意図せずしてチームメイトの身内をナンパしてしまった七緒は固まり、海斗と遼平は素直に驚いた。

「遼平久しぶり。背が伸びてたって静弥から聞いてたけどすっごい伸びたね」

「愛生ちゃんも! その、きれいになってて驚いたよ」

「100点。連絡先交換しよ」

「あっ、オレも!」

遼平を逆ナンし始めた愛生の誘いにすかさず七緒が乗っかる。

「ぜひ」

「愛生、そろそろ行こう。先輩たちが待ってる」

スマホを取り出した愛生を制止したのは先ほどまで湊と話していた愁だった。

「2分待って。イケメンの連絡先は何個あっても困らないから。そっちのワイルド系イケメンも」

「イケメンだってさかっちゃん、良かったね」

「うっせぇ! チャラチャラしてんじゃねぇよ!」

「そんなこと言って、顔が真っ赤になってるっしょ?」

なんだかんだで愛生は全員と連絡先を交換することになっていた。静弥は呆れ顔で我関せずを貫いている。

「……相変わらずだね」

不服そうな表情をしつつ、結局愛生を待つ愁。

愛生たちがわいわい話している間、今度は湊から愁に近づき話していた。

「愁、いいのか?」

「何がだい? 湊」

「何がって、愛生だよ。他のヤツと仲良くされるの嫌だって、昔言ってただろ?」

「そうだね。でも、俺に縛る権利はないな」

「お前めんどくさいな……」

比較的鈍感な湊でも気づくくらいには、愁は愛生を気に入っていた。

湊としてはてっきりもう付き合っているんだろうと思っていたから、愛生の相変わらずの面食い的行動には驚いていたが、愁の様子を見るに何も進展はなさそうだと気づき溜息を吐いた。

*****

風舞男子たちと別れ、先に行ってしまった桐先の集団を追いかける。

遼平たちと話してたら愁もいつの間にかいなくなってたし……。

まあ、個人戦に間に合えばいっかと思って結局ゆっくり歩いてるんだけど。

「わっ、ごめんなさい!」

女子の慌てた声と同時に、後ろから軽く誰かがぶつかったような衝撃。

振り向くと、弓道着に薄緑色のジャージを羽織ったツインテールの女子がいた。

「……風舞?」

今さっき見たばかりのジャージと同じものだ。女子部員か。

「えっ、き、桐先の人に知られてる!?」

風舞ジャージの女子3人は驚いていた。そういえば風舞の弓道部は実質今年新設されたようなものなんだっけ。そりゃ強豪校に知られてたら驚くわ。

「さっき風舞の男子とちょっと話したから。同じジャージだと思って」

「えっ、男子と? ナンパされなかった?」

「あー、七緒くん? されたされた」

「やっぱり……。うちの男子がすみません」

七緒くんはモテそうなのに、女子部員からは不評のようだった。

「いいって。私も遼平逆ナンしたし」

「は!?」

風舞女子、リアクションが良いな。

私の面食いは男子だけが対象ではないので、かわいい女子の色んな表情見たさについからかってしまう。

このまま風舞のとこに戻りたいと思い始めたところで、スマホが鳴った。メッセじゃなく電話だったので愁だろうと思って画面を見ると、まさかの本村先輩。

「やば……はい竹早です! ごめんなさい!」

『はい。早く集合場所に来てくださいね』

「今行きます!」

本村先輩に怒られたら多分心が折れる。

「じゃあ、また個人戦で!」

静弥から団体戦に出るのは男子だけだと聞いていたので、そう言い残して風舞女子と別れた。

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