さんにん
結局、"任務で疲れて寝てしまっていた"と言ったらしい義勇は、さっさと風呂を済ませて炭治郎くんとの鍛錬に勤しんだ。
ひと段落した頃に私が軽食のおにぎりとお茶を作って持っていくと、
「はっ、明野さん! あの、その……! あっ、ご飯、ありがとうございます!」
炭治郎くんは顔を真っ赤にしていた。義勇を見る。
「俺は何も言っていない」
私もまだ何も言っていない。
「ち、違うんです! 本当に何も聞いてません! ただ……俺は少し鼻が利くので」
顔が熱くなるのを感じる。恥ずかしい。こんな、年下の子に、まぐわっていたことを知られるなんて。
というか、屋敷の外まで匂ってたってこと?
「ご……ごめんね」
「謝らないでください! 俺は気にしませんから! むしろ、義勇さんと明野さんが仲良しで嬉しいです!」
「炭治郎、あまり明野を見るな」
義勇が炭治郎くんとの間に割って入り、私の頬に手を添える。
「顔が赤いな。大丈夫か? 先ほどは無理をさせた、少し休んでいるといい」
「む、無理を……!? 大丈夫ですか明野さん!」
空気を読まない義勇と、あまりに純粋な炭治郎くん。
「……休んでくる。義勇、あとで……げんこつさせて」
私は努めて冷静に、いつも通りに振る舞った。
適当に思いついたお仕置きをすると言い捨てて、その場を去る。
最後に彼が呟いた一言は、私の耳には届かなかった。
「……心外!」