過去編:夜の稲妻は水招く
※「過去編:冨岡」の続きです。
「ど……」
「……ど?」
ど、とだけ呟いた義勇に、明野は聞き返した。
「どう、すれば、いいんだ……?」
「……へ?」
義勇は、布団の上に明野を押し倒していた。
そして明野の体を跨ぎ、顔の両横に手をついて覆い被さっている。
「悪いが経験がない」
「……私も」
「当たり前だ! もし経験があったなら、俺はその相手を殺す!」
「か、過激だね……」
――さっき"何をするかわからないぞ"と言っていたのは、もしかして文字通りの意味だったの?
と、明野は驚いた。
「接吻がしたい」
「う、うん――っんむ」
ふにっと唇同士が触れると、すぐに離される。
「……もう一度だ」
このとき、義勇の目の色が変わったと明野は思った。
何度も角度を変えたりして触れ合っているうちに、だんだんとそれが深いものに変わっていく。
「っふ、んん……」
明野が小さく吐息を漏らしながら、自身の隊服を縋るように掴んでいることに気付いた義勇。
一度唇を離すと、潤んだ瞳で見上げられる。
その琥珀色の双眸は、確かに欲を孕んでいた。
「……っ!」
義勇にとって明野とは、今この瞬間までは、記憶の中の可憐な少女だった。
それは命を賭して守るべき、愛しくか弱い存在。
だがこのとき、はっきり理解した。
――明野は女だ。
誰が、あの汚れのない少女を、欲を湛えた女にした?
「……俺、が……」
そう自覚したとき、義勇は感じたことのない強い衝動に駆られた。
「明野。俺は今からお前を抱く」
まさかそんな宣言されるとは思いもしていなかった明野は、頷きつつも頬を赤く染め上げた。
ついさっき"どうすればいいかわからない"などと言っていたのは、果たして目の前の男と同一人物なのか?
――でも、この
明野は確かにそう思った。
*****
義勇はゆっくりとした動作で、その意図はなくとも焦らすように明野の隊服を脱がせていった。
明野は小柄で細身ではあるが、稽古の成果として、一般的な女性よりもはるかに筋肉がついている。
義勇はそれを美しいと思った。
まだ上半身の衣服を取り払っただけだというのに、義勇は、頭が沸騰したのではないかと疑うほどに興奮を覚えていた。
しかし、明野は両腕で露出した
「ん……あんまり、見ないで……」
「よく見せてくれ」
「いや……っ」
「なぜだ」
「……この、体……恥ずかしいの」
「何を恥じることがある。誇れ」
「誇れって、そんな!」
自分の裸体の何を誇れというのか、と明野は戸惑った。
腹筋は割れていて、腹斜筋も浮き上がっている。二の腕や、まだ隊服の下だが脚だって筋肉で太い。
乳房は大きくなったが、それだけでは全体として不自然で、男性が好む女らしい体型だとは思っていなかったからだ。
義勇といつか閨事に至ったときにこれを恥じる日がくるかもしれないとは漠然と思っていたが、それよりも、剣士として強くなること選んだ結果だった。
「お前は女だから、ここまで筋肉をつけるのには苦労しただろう。すごいことだ。尊敬に値する。それに、俺はとても綺麗だと思う」
義勇は淡々と話しているが、その実焦っていた。
明野の体は美しい。本気でそう思っていたから、衣服を脱がせていくと共に明野の表情が曇っていく理由がわからなかった。
それが恥じらいからくるものだと理解したとき、やはり納得がいかなかったが。
「恥じるな、見せろ! お前は俺のものなんだろう。そうしろと言ったのはお前だ……!」
義勇は辛抱たまらず明野の両腕を布団に縫い付けるように強引に押さえる。
明野は抵抗しなかった。
興奮のあまり多弁になった義勇の言葉には驚きつつも、これ以上ないほどの喜びを覚えていたからだ。
それに加えて、今こうして力で押さえつけられたとき、明野もまた得も言われぬ衝動に駆られていた。
「義勇……っ」
「何だ」
「わたし……」
明野は恥じらいから言葉を詰まらせたが、義勇は黙って続きを待った。
「私……義勇がほしい」
「俺もだ。お前がほしい」
「義勇が満足できるように、がんばるから……!」
明野は、こんな体でも褒めてくれる義勇に尽くしたいと思っての言葉だった。
だが、義勇はそんなことは求めていなかった。
女だから男に尽くす、男だから女を使う――そんなくだらない慣習はどうでもいい。
明野の満足は自分の満足だと、男なら自分の女を満たしてみせろと、そう考えていた。
「必要ない。俺が満足させてやる。嫌なら言え」
「っ、はい……っ」
義勇の言葉は明野にとって衝撃的なものだった。
良家に生まれ、"女子"として育てられてきた明野は、伴侶となる男には尽くして当然と考えていたからだ。
だが、従った。
明野の抵抗がないことを確認すると、義勇は再び隊服を脱がせにかかった。
やがて明野は裸に剥かれ、未だ隊服を着込んだままの義勇はそれを熟視する。
息が荒くなる。下腹が熱い。今すぐものにしたい。
「……はぁっ……はぁっ……、っあ、っ!?」
初めて見る女の――明野の体に、義勇はいよいよ限界を迎えていた。
指1本と触れないうちに達してしまったのだ。
「っはぁ、ぅ、く……っ」
褌の下で窮屈そうに脈打つ魔羅が、隊服越しに再びその存在を主張し始める。
「義勇、大丈夫……?」
経験のない明野は義勇に何が起きているのかわからず困惑した。明野からすれば、服を脱がされたあとで義勇が小さく呻き始めただけだった。
「ああ……」
義勇の眼光が、さらに鋭いものになる。
この無防備な獲物を前に、一度達したくらいでは満足できるはずもなかった。
「義勇も、あの……ぬ、脱いでほしいの……」
「わかっている」
明野を脱がせるときとは違い、自身の隊服は乱雑に脱ぎ捨てた義勇。
「怖いか?」
「……少し。でも大丈夫」
明野もまた初めて見る義勇の体に、興奮を隠せずにいた。
自身よりもくっきりと割れた腹筋に、思っていたよりも厚い胸板。腕や脚も太く、義勇の端正な顔立ちからは想像がつかないような、隆々とした体つきであった。
そしてなにより、その中心にある男の象徴。あえて意識を向けないようはしていたが、やはり目に入ってしまう。
「……あまり見るな。不快だ」
「あっ、ぅ、そうだよね、ごめん」
「…………」
義勇は、"魔羅なんて汚いものを見てもお前が不快になるからあまり見るな"という意味で言っていたが、誤解を与えたらしいと気づいた。しかし、それを解くためのうまい言葉も出てこなかった。
「……いや、やはりよく見ろ。今からこれがお前の中に入る」
「えっ!?」
明野は戸惑いつつも言われた通りに目線を移す。
それを目にするのは初めてだったが、興奮すると大きくなるという知識だけはあった。
元の大きさはわからなかったが、自分の体を見ただけでこんなに大きくなるなんて……と、明野は感嘆し吐息を漏らす。
「……はぁ……っ」
義勇の魔羅は猛々しく反り立ち、時折びくりと脈打つ。ところどころ血管が浮き出ていた。雁首のくびれや大きな亀頭が目立った。鈴口からは透明な液体が分泌されている。
「……ずいぶんと視姦してくれるな」
「あっ……」
夢中になって見てしまっていたことを恥じ、明野は咄嗟に目を逸らす。しかし逸らした先にあったのは義勇の青い目だった。
「俺もよく見させてもらった」
下げられた義勇の視線を辿れば、いつの間にか閉じていたはずの両足が弛緩し、その中心が曝け出されていた。
明野は反射的にまた足を閉じて隠そうとしたが、義勇の手によって阻まれる。そしてあろうことか腿裏を持ち上げられ、義勇の目の前で大胆に開脚させられていた。
あまりの羞恥に明野は抵抗も忘れ、呆然としている。
露出するつるりとした突起と、開かれた肉ひだの奥にある穴までよく見えた。桃色のそこはまだ固く閉じられていたが、分泌されていた粘液が光に照らされていやらしく輝いている。
しかし義勇は疑問に思った。
――こんな小さい穴に、俺の魔羅が入るのか?
指1本が限度だろうと思った。だからすぐに試した。
「指を入れるぞ」
「……えっ、――い、いたい! ……うぅっ」
「…………」
――指ですら痛みを伴うか。魔羅など入れたら明野が死んでしまうのではないか……?
「う……ぎ、ゆう……大丈夫、だから……続けて……っ」
今にも泣きそうな表情で、荒い呼吸をしながらも明野はそう言った。
「……わかった。悪いが痛みは我慢してくれ」
「ん……」
明野が頷いたのを確認すると、義勇は一度抜いた指を再び挿入した。
「……温かいな」
先ほどよりは抵抗も少なくなり、中を探るように撫でてみる。内壁はひだのようになっているのか凹凸があり、さらに奥を探ればざらざらとしたところがあった。
そうして少しの間中の感触を堪能していると、明野の様子も変わってきていることに気付く。
「はぁっ、あ、あっ……」
義勇が内壁を擦ると、明野はわずかだが甘い声を漏らすようになった。
「気持ち良いのか?」
「わかんない、けど……んっ、も、いたくないから、もっと、して……っ」
「っ! ああ……」
まさかねだられるとは思っておらず、義勇は動揺した。同時に魔羅の根元をきつく握り絶頂を堪える。次こそは明野の中でないと嫌だった。
指を2本に増やすと明野はまた苦痛の表情を見せたが、慣らすうちにそれも和らいでいった。
「明野すまない、もう……我慢の限界だ」
「ん、ごめんね……」
「謝るな」
入れていた指を引き抜くと、纏わり付いた粘液を魔羅に絡めさせ数回扱く。
亀頭を膣口に押し当てると、その大きさを感じ取ったのか明野はぎゅっと目をつむり、身を強張らせた。
「明野」
義勇は挿入する前に、明野の頬に手を添えて接吻をした。それから頭を撫でて、抱きしめる。
「明野、愛している。俺のものになってくれ」
「っ、私も……義勇のこと、愛してます。きて……」
「ああ」
押し当てた亀頭をゆっくりと中に埋めていく。
「い"っ……!」
案の定明野は痛みに呻き、咄嗟に自身の腕を噛んで耐えようとした。
「腕を噛むな!」
「ひ、ぃっ、だって、いたい……っ」
「俺の肩を噛め」
明野の口から腕を離させると、そのまま抱きしめて口元を自身の肩口に寄せた。
また少しずつ腰を押し進めると、初めは遠慮していた明野も堪らず義勇の肩に噛みついて、背中に爪を立てた。
「くっ……きついな……!」
義勇は明野がどれだけ痛がろうと、やめようとはしなかった。
――さっきから痛がってばかりだ。こんなことが本当に愛することなのか? 苦痛でしかないのではないか?
義勇は挿入しながらそう思った。しかし、こうも思っていた。
――これで明野は俺のものだ。明野のすべてを征服したようで、とても満たされている。
噛まれた肩や引っ掻かれた背の痛みなど気にもならなかった。
「……っはぁ……明野、全部、入ったぞ……」
先端が奥に当たる感触がある。それだけでも達してしまいそうだったが、義勇は必死に耐えた。
「うんっ……ぎ、ゆう……動いて、いいよ……いっぱい我慢、させた、よね……」
「……だめだ。馴染んでからでないと……!」
義勇は明野を気遣う言葉を吐きはしたものの、今動けばすぐに達してしまうと思い焦った。それでは情けない。堪え性のない男だと思われたくなかった。
「大丈夫。痛いけど、嬉しいから……義勇に、もっと気持ち良くなってほしいの」
「……後悔するなよ」
痛みで流したのだろう涙を拭うため明野の頬を撫でた義勇は、わずかに腰を引いた。
「っい……」
「ふ、ぅ……っ、すまない、あまり、保たない……かもしれない」
ふと結合部を見れば、そこはお互いの体液と明野の血液が混ざり合い、泡立っていた。義勇の興奮がまた高まる。
「う、ぐっ……だめだ、明野……っ」
堪えきれず、腰の動きを速め始めた。
明野は義勇の背に縋りつき、抽送を受け入れる。
それから数回と突かないうちに、義勇はまたしても達してしまった。
これでは三擦り半などと詰られても文句は言えないと義勇は情けなく思ったが、それ以上に強い快感で落ち込む余裕もなかった。
明野の中でびくびくと脈打つように動く魔羅は、またしてもすぐに硬さを取り戻す。
義勇は自分でも驚いていた。性欲はさほど強くないと思っていたが、明野が相手ではそんなことないらしい。
「明野……もう一度、動くぞ」
「んっ……あっ、あ……」
「痛いか」
「ちょっとだけ……」
「……少し休む」
「大丈夫っ、動いて、いいよ、その……」
何かを言いかけた明野の言葉を、義勇は待った。
「い、痛いけど、気持ちいい、から……っ」
「っ!? 本当か」
「うん。だから、いいよ……義勇の好きなようにして」
「……わかった」
明野の言葉を受けて、義勇は一層大事にしてやらねばと決意した。
今度はすぐ出すようなまねはしまいとゆっくりと腰を動かす。
「んんっ……」
明野が小さく漏らす声は、最初のような苦痛を全く含んでいなかった。
気持ち良いというのは本当のようだ、と義勇は興奮の中どこか冷静に観察する。
徐々に律動を速めると、明野の息も荒くなっていき、声も次第に甘さを含むものに変わっていった。
「んっ……ん、あっ……!」
明野は声が漏れるのが恥ずかしくて口を押さえようとするが、義勇はそれを許さない。
「声を聞かせてくれ」
「……っふ、ぅ……んんっ」
明野は首を振るが、腕を掴まれているせいで口を閉じることができなかった。
「あ、っん、ぎゆう、きもちい……?」
「ああ……ッ、すごく」
次第に会話をする余裕もなくなっていき、義勇は夢中で腰を振っていたし、明野もそれを受け入れていた。
「うっ、ぐ……っ、明野、はぁっ、もう、出そうだ……ッ」
「んっ、うん、きてっ、義勇の、ほしい……っ」
「明野ッ、明野……!」
義勇は譫言のように名前を呼び続け、明野を抱きしめながら絶頂に達する。
明野もそれに応えるように抱き返し、激しい突きに耐えていた。
「はぁっ……はぁっ……」
険しい表情で息を整えようと深い呼吸をする義勇は、さながら獣のようだと明野は思った。
「大丈夫か」
「ん……」
「抜くぞ。……名残惜しいが」
「う、んっ……んぁ、あ……」
義勇はその言葉の通りすぐには抜かず、ゆるゆると中の感覚を確かめるように腰を動かした。
自分の動きに反応して身を捩り、甘い声を漏らす明野の姿に義勇はまた興奮を覚えたが、さすがに打ち止めだ。明野に無理をさせている。
ずるりと魔羅を引き抜けば、中からは大量の白濁が流れ出てきた。
「……中に出してしまった。掻き出すから、少し待っていろ」
明野の体内から自身の出したものが溢れているという光景にも興奮したが、我慢する。義勇は内心必死だった。
今さらといえば今さらだが、義勇は中を傷つけないようにそっと指を2本差し入れた。
――しっかり掻き出さねば、子ができてしまうかもしれない。
義勇とて明野に自身の子を産んでほしいとは思うが、それは今ではない。だが、
「子を孕めば、お前は鬼殺隊を辞めるのか」
「え……?」
その問いを口に出すつもりはなかった。
しかし、明野をどこか安全なところにしまい込んで、誰の目にも触れさせずに守りたいというのは、義勇の本心だ。
明野がそれを望まないことは、わかりきっていたが。
「辞めてほしいの?」
明野は疲れた様子ではあるが、言葉ははっきりしていた。
怒ったり、悲しんでいる様子はない。だから、義勇はつい言葉を続けてしまっていた。
「いつ死ぬともわからない仕事だ。お前に死んでほしくない」
「死なないよ、柱だもの。私、強くなったんだよ」
それは子供に言い聞かせるような、優しい声音だった。
「いつ死ぬともわからない義勇を、おとなしくお家で待ってるなんて殊勝なこと、私にはとても出来ないの。ごめんね」
申し訳なさそうに眉尻を下げる明野に、義勇は罪悪感を募らせた。
しかし、守るために離れようとする義勇と、守るために傍にいようとする明野では、根本の考え方が違っている。
「それにね、死体になった義勇を家で迎えるだけなんて嫌だし……何より、義勇の最期の言葉は私が聞きたいの」
「それは……」
義勇はそれを聞いて、初めて共感した。
鬼殺の道に進むとき、明野を危険から遠ざけるために距離を置いた。
しかし、結局明野の村は義勇の知らぬ間に鬼に襲われていた。悲鳴嶼の救助が間に合い明野が生き残れたのは奇跡だった。
例え明野が家族と共に殺されていても、会いに行こうという気もなかった当時の義勇にはそのことに気付く術もなかったのだ。
――俺はまた判断を間違えた。
自己嫌悪に陥り俯いた義勇を、明野が現実に引き戻す。
「ね、義勇。私の遺言もちゃんと義勇が聞いてね?」
「それは……ずっと先の話になるな」
「ふふっ、そうだね」
義勇には、もう明野を辞めさせようという気も、安全なところに匿おうという気もなかった。
知らぬ間に死なれるくらいなら、戦場で、その死の瞬間まで見届けたい。明野と同じくそう思った。
*****
「明野」
「なに?」
2人は再び布団の上に座り、向かい合っていた。
ちなみに先ほどそれぞれで湯浴みを済ませたばかりであり、お互いの湯上がり姿になんとなく照れていた。
「ひとつ、頼みがある」
「うん、いいよ」
「なっ、安請け合いをするな!」
「いや、頼んだの義勇だよね……。それで?」
理不尽に注意されて明野は若干困惑したが、気を取り直して聞く。
義勇は視線をうろつかせて言葉を選ぶ。
明野はそんな様子を見て、"もじもじしててかわいいな"と思ったが、やはり口には出さないことにした。
「触って、みたい」
「へ? 何を……」
義勇は頬を赤くして、明野の乳房を指さした。
「えっ、あ……えっ……ど、どうぞ……っ」
「いいのか!?」
「さっき散々それ以上のことしたよね!?」
「それは……そうだが……」
――なんで義勇が私より恥ずかしがってるんだろう。というか、さっきしてるときに触ればよかったんじゃ……。
明野は至極まっとうな疑問を抱く。だが、行為中の義勇にそんな余裕はなかった。
義勇の右手は遠慮がちに、浴衣越しの乳房に触れる。つん、と指先で弾力を確かめた。
それから数本の指で押してみたり、手のひらで包んでみたり、下から持ち上げてみたりと、好奇心の赴くままにいじられる。
「思ったより重い。これでよく歩けるな。体幹が強いのか……?」
「うぅ……」
一方で、明野はその微かな刺激にもどかしさを募らせていた。
触られるたびに布が擦れてくすぐったく、これが快感なのかどうかの判別もつかなかったが、興奮を覚えたのは確かだった。
それに、義勇は手元に夢中で気付いていないようだが、再び膨れ上がった魔羅が褌と浴衣を押し上げている。
明野の胸は両手で掬い上げるようにして揉まれ続け、浴衣も次第に着崩れた。きっちりと閉じられていた合わせは帯のゆるみと共に開かれて、谷間が露わになる。
義勇は息を荒くして、顔を近づける。
明野はついに堪らなくなり、義勇の後頭部に手をやって、自身の胸に顔を押し付けさせた。
「ふもっ」
もごもごと声を発する義勇だったが、顔面を包み込む柔らかい肉の感触に抵抗を忘れていた。
乳房を掴んだままだった両手も使い、今度は自らの意思で顔を挟ませる。
浴衣はやがて完全に着崩れて、肩から落ちて帯に引っかかるのみとなってしまった。
露出した乳房を視覚で堪能したあとは、再び揉みしだく。思い出したように乳首を軽く摘まんでみれば、明野は微かに肩を揺らした。
「気持ち良いのか」
「んっ……わかんない、くすぐったい……っ」
つんと立った桃色の小さな突起を、義勇の指先は容赦なく摘まみ、擦り上げる。
明野の息が上がるのを見て、義勇は満足感を覚えたが、まだ足りない。
今度は赤子のように、乳首に吸いついてみることにした。
「ひゃっ、義勇、やだ……っ」
「痛いか?」
「違うの、でも、そんなとこ、吸わないで」
「本来、これは吸うものだと思うが」
片方は指で弄び、片方は舌で転がした。時折左右を交代してみたり、また谷間に顔を埋めてみたりと繰り返す義勇。
「あぅ、う、んん……っ」
明野の腰が無自覚ながらに揺れる。その腹から尻にかけての曲線を、義勇は撫で回した。
「はぁ、はぁ……ぎゆ、ぁんっ」
未だ乳首に吸いついている義勇の頭を、明野は撫でていた。深い意図はなかったが、なんとなく、その姿が愛おしく思えたからだ。
「……俺が赤子に見えているのか?」
少しむっとした表情で見上げられ、明野は首を振る。こんな淫らな赤子がいてたまるものか。
腰を撫でていた義勇の手が帯を解いて浴衣を完全に脱がし、ついでに腰巻も取り払われて、明野は再び裸を晒すこととなった。
「明野……すまない、まだできそうか? 俺ももう、この有様だ……っ」
「う、ん……私も、もっと……義勇がほしい」
明野もまた、風呂で清めたばかりのそこが濡れ始めている自覚を持っていた。
そして、覚えたての快感を理性によってみすみす手放せるほど、2人もまだ成熟してはおらず。
柱の並外れた体力が尽きるまで、一晩中まぐわうことになってしまったのだった。
*****
障子越しの空が白み始めたことにふと気づき、義勇は脱力した。
組み敷いていた明野の上につい体を預けると、
「んぐ……っ」
と苦しげな声が聞こえてきたため、ハッとして身を起こした。
義勇は明野の横に寝転ぶと、濡れて冷たくなった布団にも構わず、明野の体を抱き寄せて目を閉じる。
明野は途中から疲労で寝てしまったのか、はたまた快感のあまり意識を飛ばしてしまっていたのか、義勇には判別がつかなかった。
ただときどき頬を軽く叩けば目を開けて、途端に義勇に縋り始めるものだから、どうしてもやめられなかったのだ。
――優しくしようと思っていた。無理強いなんてさせるつもりはなかった。
などと、今更何を言っても後の祭りだとは理解していたが。
「ん……ぎゆ、う……」
「……起きていたのか」
「ん」
明野はとろんと溶けた目で義勇を見上げる。
「また、しようね」
「っ、お前というやつは……!」
「ん……も、きょうはねむい……」
先ほどまでの艶やかな様子はどこへやら、まるで母に甘える幼子のように義勇に抱き着き、くぅくぅと寝息を立て始めた明野。
欲を言えばその胸に顔を埋めて寝てみたいと義勇は思ったが、自重した。
浴衣を着直す余裕はなかったが、せめて風邪をひかないようにと無造作に放られていた掛け布団を引き寄せて、その身を覆う。
「……おやすみ、明野」
翌朝、2人して全身の怠さと痛みにうなだれるのは、また別の話である。