休日

夜明け前、任務を終えた義勇は鳴柱邸を訪れていた。

特に約束はしていないため、出迎えなどはない。

しかし一声もかけず、勝手知ったる我が家といったように中へ入って行った。

「…………」

家主である明野は一足先に任務を終えていたのか、すでに布団にくるまって寝ている。

そして、明野の布団の隣には、もう1組布団が敷いてあった。

義勇は羽織と隊服を脱ぎ、箪笥から浴衣を引っ張り出して着替えると、空いた布団に入った。

昔から横を向いて寝るくせのあった明野は、今は義勇に背を向けている。

義勇は何をするでもなく、しばらくその後ろ姿を眺めた。

「……明野」

返事代わりの穏やかな寝息を聞き、義勇の口元はわずかに緩む。それからそっと目を閉じた。

*****

夜が明けて、夏の日差しが障子越しに部屋を照りつける。

目を覚ました明野は、身動きが取れないことに気づいた。

視界に広がるのは見慣れた男物の浴衣と、少し乱れた衿元から覗く肌。

いつも2人分布団を敷いているが、翌朝たいてい無駄になっている。

「……義勇」

寝起きの掠れ声で呼べば、体を包む腕が少し締まり、片手は明野の頭を優しく撫でた。

なんだか堪らなくなって、明野も義勇の背に腕を回して身を寄せる。

明野もかなり鍛えてはいるが、やはり男性の体つきは比べものにならない。

その逞しさに触れるたび、安心感と少しの劣情を抱くのが常だったが、同時に鬼殺隊士としての不甲斐なさを感じてしまう。

そもそものつくりが異なるのだから仕方がないとは理解しているものの、羨ましいものは羨ましかった。

明野は思考を中断しようと、目をつぶったまま軽く深呼吸をする。

が、すぐに後悔した。

炭治郎のように鼻がきくわけでなくとも、この距離で嗅げば義勇の匂いが濃く伝わる。

「……ん」

「……どうした?」

つい漏れてしまった声をごまかすように、今度は明野が腕の力を強める。

すると義勇もそれに応えるように、足を絡ませてくる。全身で捕まえられているようだった。

それからすぐ、頭と背を撫でていた義勇の手はだんだんと下に降りていき、腰に回る。

「今日は非番だったな」

「うん」

その返事を聞くと同時に、義勇は身を起こして明野に覆い被さった。

「俺はまだ時間がある」

「……ん」

手首を掴まれ、布団に押しつけられる。

男の腕力にもある程度抵抗はできたが、無論明野は受け入れた。

「いいよ、……好きなだけ」

「……あまり煽るな」

それから何度もくちづけを交わし、体を重ね合った。

*****

「……暑い」

「……おなかすいた」

鍛錬のあとのように汗だくになった2人は、そう同時に呟いた。

「汗を流そう」

義勇はてきぱきと準備を済ませ、空腹でぼんやりしている明野を連れて湯浴みに向かった。

屋敷には大きめの風呂を用意してもらっているため、2人でも一緒に入ることができる。

「……すまない」

言葉足らずな義勇が突然謝ることはときどきあったが、今のその言葉に謝罪の意が含まれていないことに気づくのは早かった。

気まずそうに明野から目を逸らす義勇。

明野の視線は義勇の下半身に向いている。

さっきさんざんしたのに、と思う反面、それが嬉しくもあるため責めることはしない。

「……ふふ」

「笑うな」

のぼせか恥じらいか、少し頬の赤くなった義勇に立たされて、壁に手をつかされる。

「まだ濡れているな」

「ん、うぅ」

先程の行為の名残りと、新たに分泌された体液で、挿入は容易だった。

しかし立ったまま後ろから攻めたてられるのは初めてで、いつもと違う快感に明野は膝を震わせ壁に縋りつく。

義勇が腰を掴んで支えているため、脱力することもままならない。

「あ……っ、はぁ、あぁ……」

「う、っく……」

堪えるような声を漏らす義勇は、腰から手を離したかと思えば乳房ちぶさを揉みしだく。

それによって上半身も密着し、明野の耳元で義勇の切なげな声が響いた。

「……っふぅ、んん……っ」

だんだんと速まる腰の動きに、互いに限界が近いことを悟った。

「あっ、あっ……も、う……」

「ああ……俺も、出る、っはぁ、明野、出すぞ……っ」

「っん、んん……っ」

達する瞬間、ひときわ大きな声が出そうになり、明野はとっさに口を覆い、腰を震わせた。

義勇の手は再び腰を掴み、逃すまいと叩きつけるように自身の下腹を押しつけて、精を押し込む。

それから少しの間、お互いに息を整えていた。

義勇がずるりと魔羅を引き抜くと、明野は小さく声を漏らし腰がぴくりと揺れる。毎度この反応にさえ煽られているのだが、さすがに今は自重した。

……明野は腹が減っている。朝餉を用意しなければ。

ようやく汗を流し、明野に流し込んだ精を指でかき出す。

「痛くないか」

「ん、ん……っ」

明らかにかき出す以外の意図をもって動く指に、疲れ切った明野はされるがままだった。

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