幕間
明野が冨岡の屋敷に住み始めて早4日。
今まで任務だなんだで被らなかった就寝時間が、初めて重なってしまった。
相変わらず同じ閨に2組並べられた布団。
その間には衝立が置かれているが、それ挟んで共に寝たことはまだない。
しかし、
「あのさ、冨岡くん」
「なんだ」
「つ、衝立、なんだけど。やっぱり置かなくていいよ」
「……えっ」
2人はすでに両想いであった。
*****
【義勇視点】
清藤は、嫌がっていたはずの同じ閨を、突然受け入れた。急にどうしたんだろう。
だが、俺としては嬉しい限りだ。
「いいのか」
「うん」
俺は衝立を部屋の壁に寄せて置いた。
清藤は布団の上に正座をして、俺の方に体を向けていた。いつも綺麗にまとめ上げられている髪は解かれている。
……思っていたより長い髪だ。綺麗に手入れがされている。香油だろうか、花のような良い香りをかすかに感じた。
薄手の浴衣のみを纏う彼女は、隊服を着ている普段よりも小さく見える。
ともあれ、俺の布団を清藤の布団にぴったり寄せると、彼女は驚いた顔を見せた。
「くっつける必要はあるの?」
「……この方が暖かい」
もう寒い季節ではないが、それくらいしか真っ当な理由が見つからなかった。
「はぁ……もう、いいから寝よ」
「ああ」
明かりを消して、共に横になる。
「…………」
「…………」
眠れない。
「清藤、もう寝たか」
「……起きてるよ」
「眠れないのか?」
「眠れないよ」
とりあえず瞑っていた目を開けると、清藤もこちらを見ていた。
「……清藤」
「なに、冨岡くん」
「手を、出してくれ」
「手?」
不思議そうにしつつも、素直に手をこちらに伸ばした清藤。俺はその手を握った。
「俺は、お前に恋をしている」
「はあ? なんで今、急にそんなこと」
俺の前で無防備な姿を晒す清藤を見て、改めてそう思ったから伝えた。それだけだ。
この姿を、他の誰にも見せたくはないし、彼女にも他の者を見てほしくない。
これを恋と呼ばずして、何と言うのだろうか。