胡蝶姉妹

明野は横になった後、しのぶが戻るのを待たず眠気に負けていた。

それを発見したしのぶは溜息を吐く。

「はぁ……黙っていれば綺麗なのに。ほんとにもったいないわ」

カナエとしのぶも美人姉妹で有名だが、明野もまた人目を惹く面立ちをしていた。

2人を可憐に咲く花や自由に舞う蝶とするならば、明野は凪いだ水面みなもに落ちる雫。

雫が作る流麗な波紋を眺めればつい吸い込まれてしまいそうな、どこか危うさを感じさせる美貌の持ち主だった。

これで水の呼吸の使い手であればその印象とも合致するものだが、いかんせん気性の荒い明野は雷の呼吸に高い適性を持っていた。

ちなみになんとも滑稽な話ではあるが、3人は初対面のとき"とんでもない美人がこの世にはいるんだな"とお互いに思い合っていた。

「しのぶ、明野は大丈夫そう? ……あら」

ともあれ、しのぶから話を聞いたカナエは明野の様子を見に診察室を訪れた。

気の抜けた表情ですやすやと寝こけている明野を見てカナエは微笑む。

「良かったわ。前は廊下を人が通るだけでも目が覚めてしまうくらいだったのに、私たちもずいぶん信用されるようになったみたいね」

実際、カナエの言う通りだった。

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