宇髄
数ヶ月後、明野に友達が増えた。
「お前なかなか派手じゃねえか!」
「いやあんたに言われたくないんですけど」
音柱・宇髄天元。彼は明野が今まで出会った中で一番派手だった。
そんな男に"派手だ"と言われ、つい言い返してしまった明野。
戦いぶりを見る限り宇髄は明らかに自分より階級が上だとは思っていたが、反射は止められないものである。
「すいません、つい」
「地味なこと気にすんな」
明野は宇髄のことを知らなかったが、宇髄は明野を知っていた。
すぐに手が出る暴力的な女隊士。蝶屋敷に住んでいて、なんだか最近は少し丸くなった。胡蝶姉妹に負けず劣らずの美女ではあるが、手を出そうもんならアレを潰される。
……などという噂は、柱たちの耳にも届いていた。
とはいえ、そんな噂に興味を持つ柱など宇髄の他にはいなかった。
悲鳴嶼は言わずもがなだが、唯一明野の知り合いであるカナエはその噂をやんわりと肯定していた。冨岡はそもそも噂を聞いているのかいないのか、反応がないので全くわからないし宇髄も彼に興味がない。
妻のいる宇髄に下心は全くなかったが、一体どんな派手な女なのかと気になっていた。
そこでたまたま任務先で出会った女が噂の清藤明野であると気づいた宇髄は、彼女が予想通り派手な女であったことに満足した。
明野は明野で、宇髄が柱であることには話の途中で気付いたが、今さら態度を変えることはなかった。
お互い思ったことははっきり主張する性質だからか、村田とはまた違った方向性で仲良くなった。
ちなみに、雷の呼吸の使い手なら継子にでもしてやるかと思い誘った宇髄だったが、明野は普通に断った。
明野とて柱を目指してはいるものの、生きていればそのうちなれるだろうと思っていたからだ。あと継子になったら柱と一緒に危険な任務に連れて行かれそうだとも思った。
明野には、胡蝶姉妹のような鬼殺に対する信念がない。
柱を目指しているのも、遠い昔に両親にそうしろと言われたからだった。そこに明野の意思は介在していない。
そんな奴が継子になんてなるべきじゃない、と明野は感じていた。
しかし、このときすでに
ほっといても勝手に柱になるなと思い、宇髄はあっさり引いたのだった。