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夕食を終え、四軒茶屋へと戻ってきた俺たちは、駅からほど近いそれぞれの家へと向かっていた。肉はとてもうまかった。

ちなみに俺もバイトはしているから半分出すと言ったが、明さんにはまた今度と言われて結局おごられてしまった。

しかし"また今度"という言質が取れたので今日はよしとしよう。

「改めて、今日は誘ってくれてありがとう。これ、良かったら貰ってください」

ルブランの前でそう言った明さんは、俺に小さな紙袋を手渡してきた。

水族館のロゴが入っているから、お土産コーナーで買った物だろう。いつの間に。

「開けていい?」

明さんは頷いた。

紙袋に入っていたのは小さなぬいぐるみだった。

「ありがとう。でも、なんでウーパールーパー?」

「なんとなく、見てたら愛着が湧いてしまって……」

確かに、絶妙なゆるさがクセになる風貌だ。

「……俺も、なんか愛着湧いてきた。大切にします」

明さんがくれたからというのもあるが。

というか明さん、気づかれないようにプレゼントを買って帰り際に渡すなんて、彼氏として完璧すぎる。まだ彼氏じゃないけど。

俺はそこまで気が回らなかったことを悔いた。

「少しかわいすぎるかとも思ったんですけど、気に入って貰えて良かった。じゃあ、今日はこれで――」

「待って明さん」

「……ふふ、そう言うと思ってました」

「え?」

「物足りないって、顔に書いてありますよ」

「いや、物足りないわけじゃないけど……。俺はまだ明さんと一緒にいたい」

店の電気は消えているし、今日は帰りが遅くなることも伝えてあるからマスターはもう帰っている。

連れ込む、というと語弊があるが、細かいことはまあいいだろう。

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