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俺がひとしきり笑ったあと、脱力する明さんと銭湯に行き、また屋根裏に戻ってきた。

「明さん、今日は泊まっていけ」

「遠慮がなくなってきましたね、暁くん……いいですけど」

いつかのように、というほど昔でもないが、狭いベッドに2人で入り込む。

明さんの身体をがっちり抱き込むと、ちょっと抵抗された。

「僕は抱き枕じゃないですよ」

「明さんもやっていいぞ」

「やりませんて……」

ちょっと笑った様子でそう返された。嫌がらないともっとやるぞ。

「あの、暁くん……今言うのもなんですけど、僕は……」

戸惑いがちに言う明さんは、下を向いていてその表情は見えない。

「昔からあまり、人を信用できなくて」

「……」

「でも君は――君と武見先生のことは信じられると、勝手にですけど……そう思ってるんです」

「……っ」

「うわ、ちょっと、苦しい」

思いっきり抱きしめると、明さんから苦しげな声が上がった。

「先生には昔からの恩がありますけど、君とは知り合ってからもそんなに長くないのに、何故か自然とそう思えてしまって。だから、さっき"不思議な子"って言ったのはそれも含めてです」

「そうか。……でも、それは不思議じゃない」

「どういうことですか?」

「俺は明さんに信用されたくて、猫被ってたりもしたけど、嘘を吐いたことはないし。それに、俺も明さんを信用してるから」

「…………えっと、うん、ちょっとよくわかんなかったです」

「えっ。……泣いていいぞ?」

「は? ……やっぱり不思議ですよ、暁くんは……その、良い意味で」

良い事言おうとして迷走したのは認めるけど。

"は?"はひどくないか。俺の方が羞恥で泣きそうだ。しかも今のはかなり素の反応だった。

最後に加えられた雑なフォローが余計に響いた。

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