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そんなことを繰り返しているうちに、俺はふと正気に戻っていることに気付いた。正気というと語弊があるが。

まあとにかく、薬の効果が切れているのがわかったのだ。

……だからといって、急に興奮が治まるわけでもなく。

未だに硬く勃っているお互いの性器を扱き続けて、もう限界も近かった。

俺ばかりかと思っていたけど、それは明さんも同じだったようで、少しだけど彼の気持ち良さそうな声が聞こえてくる。

「明さん、俺、も、無理っ、出る……っ!」

いつの間にか俺は明さんにしがみつくようにして、彼の肩に額を押し付けていた。

片手は性器を扱き続けているのに、一緒に腰も動かしてしまっていて、傍からみたらだいぶ滑稽なことだろう……なんて、そんなところだけ冷静に考えてしまう。

「ふふ、暁くん、顔上げられますか?」

「ん、うう……っなに、俺もうほんとに限界――」

「遠慮せず、っん、出していいのに。ほら、イくとこ見せて」

「うぁ、明さんっ、出る、出るっ、明、っく、んん……っ!」

俺はいよいよ耐えられず、明さんの身体に精液を飛ばしていた。

俺が余韻に浸っている間に明さんも自身のを扱いてイッていた。我慢しているのか、全然声が聞こえなかったけど。

なんだか悔しくてイッたばかりの明さんの性器を扱くと、彼はびくりと身体を揺らした。

「あぁっ、はぁ、ん……っだめ、こら、暁くんっ!」

明さんは口を押さえて声を我慢してしまったので、ひとまず性器から手を離した。

少しだけど彼の声が聞けて、今日のところは満足だ。

気づいたら、明さんの上半身は2人分の精液でどろどろになっていた。そりゃそうだ。

「薬、切れましたか?」

「ああ……はい、ちょっと前から」

「どうでした? 効果は」

「明さん、すごいエロかった」

「いや、僕じゃなくて……」

「最初の方が特にやばかった。だんだん落ち着いてきたけど、なんか、とにかく勃起が治まらなくて不思議な感じだ。あと、めちゃくちゃ気持ち良かった」

「そ、うですか。感想、ありがとうございます。……暁くんは、あんまり感情が顔に出ないんですね。そんなこと真顔で言う人、初めてですよ」

「明さんの初めてになれて嬉しい」

「何言ってるんですか……もう、片づけますよ」

「あ、それなら俺がやる」

明さんにティッシュ箱を奪われないように死守しながら、俺はかいがいしく体液を拭いた。

「よし。きれいになった」

「ありがとうございます、暁くん。全部やらせちゃって、申し訳ないですけど」

「俺がやりたくてやったから。それで、なんだけど……」

「ふふ、わかりますよ。薬、また試したいんでしょう?」

「……はい」

試したいというか、正確には明さんとまたシたいんだが。

とりあえず、今回のことで明さんにはぐいぐい押していった方が効果があるとわかった。

収穫はあったし、数段飛ばしで関係が進んだ気もするけど、今後は明さんの心も手に入れてやろう。

「今日持ってきた分は全部差し上げますよ」

「え、いいのか?」

「ええ、だいぶ前に作ったものですしね。また作ることがあれば改良しますから」

「ありがとう。今度使うときはまた呼ぶ。いいよな?」

「いや……はぁ、いいですけど。暁くん、なんかキャラ変わりました? 猫被ってた?」

「まあ、多少は。俺、あんまり良い理由で上京したわけじゃないから」

「そうだったんですか……? わかりました。薬に関しては、悪用さえしなければ提供しますよ。その代わり、データは取らせてくださいね」

「わかった。大丈夫。明さんとしか使わない」

「……」

明さんは困ったように頭をかいていた。

「猫被ってた方がよかった?」

「あ、いえ、そういうわけじゃないですよ。素でいた方が暁くんも楽でしょう?」

「うん。ありがとう。じゃあこれからは遠慮なく」

「はは、お手柔らかに……」

「今日は泊まっていってくれ」

ふと時計を見ると、いつの間にか深夜2時半を回っている。

隣に住んでいるとはいえ、いや、だからこそ、泊まっても帰っても変わらないだろうと思って提案した。

また微妙な顔で断られるかと思ったら、意外なことに明さんは俺の提案に乗ってくれた。

「ベッド狭いけど、一緒でいいよな?」

もう好きにしてください、なんて言葉は素っ気ないが、雰囲気的に嫌がられてはいなさそうだ。

「おやすみ、明さん」

「お、おやすみなさい……」

何故か照れた様子の明さんを抱きしめたまま、俺は眠りについた。

……モルガナには明日、謝ろう。

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