他人からどう見られてるかって結構大事

【長谷川視点】

最近、銀さんのAVの趣味が変わった。

出だしからこんな話ですまないが、最近の銀さんは何かおかしい。

この前も、なけなしの金で買ったAVをいつものように銀さんに貸してみれば"何かちげェわ"と言われ、キャバクラに誘えば"そういう気分じゃねェ"と言われ。

ちなみに、その歳で不能になったのかと聞いてみたらブン殴られたので、そういうわけではないらしい。

しかし人がせっかくドギツイSMモノに手ェ出してみたってのに……。悪くはないけど、俺はやっぱり痴漢モノとかの方が好みだったなァ俺は。

大体、今まではそういうSMとかナースとかが好みだったはずなのに、最近の銀さんときたら"妹系のロリ巨乳、出来ればミニスカポリスで"とかなんとかやけに具体的な要望を言い出している。

っていうか、妹系とロリと巨乳って同時に成立するモンなの? どっちかっていうと三竦みの関係じゃね?

そんなワケで、妹系ではないがロリ巨乳で婦警さんコスのAVを手に入れたため、さっそく貸しに来たんだが……、

「どちら様でしょうか? 銀時は今おりませんが……」

だッ、誰ェェェこのかわいい娘ォォォォ!?

俺が万事屋のインターホンを押して程なくして出てきたのは、袴姿の小柄な女の子だった。

万事屋に住んでる女の子ってあの怪力チャイナ娘だけじゃなかったの?

「あ、ああ……ええと、は、長谷川です! 銀さんにコレ渡そうと思ってたんだけど、いないならまた今度出直そうかな、ハハハ……」

何言っちゃってんの俺!? AV入れた紙袋掲げちゃったよ!!

「長谷川さん、初めまして、ですよね? 坂田梅と申します。銀時ならもうすぐ帰ってくると思いますから、お急ぎでなければどうぞ上がってください」

「え!? いいの!?」

「どうぞ」

そう言って梅ちゃんと名乗る美少女は中へ入っていった。

*****

万事屋のソファに座り、出されたお茶をすする。

「あ、あのさ、梅ちゃん。――あ、梅ちゃんって呼んでいい?」

「はい。お好きに呼んでください」

あ、なんか今のイイな。もう一回言って欲しい……。

「あー、その、梅ちゃんは万事屋で働いてるの?」

「いえ、万事屋には住んでいますけど、私が働いてるのは真選組です」

「えっ、警察だったのォ!?」

「はい。今日は非番ですが」

「そ、そうなんだ……若いのにすごいね……」

それに比べて俺ときたら……。

「ふふ、長谷川さんお上手ですね。私もう26ですよ?」

「ええ!? 全然みえないね」

26!? 俺はてっきり17、8歳くらいかと……。

アレ、そういえばこの娘、さっき万事屋に住んでるって言ってたよな……? 銀さんとはどういう関係なんだろう。

つーか……よくみたら梅ちゃん、童顔だけど巨乳だ。袴帯に胸がちょっと乗っかってて正直エロい。

そしてさっきは疑ったが、この落ち着いた雰囲気は十代後半くらいの子供に出せるものではないような気がした。なのにどこかあどけなさがにじみ出ている。

つまりこの娘は、

――妹系のロリ巨乳、ミニスカじゃないがホンモノのポリスだ。

その結論に至ったところで、ガラガラ、という玄関の開く音が聞こえてきた。

「あ、帰って来たみたいですよ、銀時」

「けーったぞ〜。って長谷川さんじゃん」

「よ、よォ、銀さん」

「……梅、何もされてないな?」

「何で疑ってんの!? 俺何もしてないからァ!」

「大丈夫ですよ。初対面ですし、何かするにしても段階を踏んでからですよね?」

「え、そこ?」

梅ちゃんは少し天然が入っているようだ。

帰って来た銀さんは梅ちゃんの隣にドカリと座り、彼女の腰に手を回して抱き寄せた。

「銀時」

近いです、と言いながらやんわりと銀さんの手を外そうとする梅ちゃん。だが銀さんは抵抗する。

「そういや、銀さんと梅ちゃんってどんな関係なんだ? もしかして付き合ってんの?」

そう聞いてみると、銀さんはあからさまに嫌な顔をした。

「いいか長谷川さん。一回しか言わねェから耳の穴かっぽじってよく聞けよ」

「なんだよ急にもったいぶって」

「梅は俺の嫁だ。質問は受け付けませーん」

「は? 嫁? 何銀さん、結婚してたの?」

「…………」

無視かよ!

「何だよ〜言ってくれれば結婚式くらい行ったのによ〜」

水臭せーな、と続けると、銀さんは何やらキョトンとしていた。

「長谷川さん、信じてくれンのか?」

「あ? まァ、そりゃ驚いたけど、お似合いだと思うよ俺は」

ちゃらんぽらんな銀さんにも貰い手があったんだ、こんなにめでたいことはないだろう。梅ちゃんは苦労するだろうけど。

「やべェ……長谷川さんがいつもよりキラめいてみえるぜ……」

銀さんは目頭を押さえながらそう呟いた。

キラめいてみえるってそれ俺じゃなくてグラサンのこと言ってるよね絶対。

「ガキどもと違って長谷川さんはやっぱ大人だわ大人。つーワケでそれ貸してください」

さっきとは打って変わってものすごく嬉しそうなゆるっゆるの表情になった銀さんは、俺の持って来た紙袋を指さした。

「え? いいけどよ……梅ちゃんいるのにいいの?」

「あーいいのいいの。コレはコレ、梅は梅だから」

まァその気持ちはわかるけどな。

紙袋を渡すと銀さんは礼を言いつつ軽く中身をみている。

梅ちゃんをみてみると、中身を知らないからか小さく首を傾げていた。

……銀さん、この娘を好きにできるんだよなァ……。

駄目だとわかっていても、目の前にいる梅ちゃんが銀さんに犯される様を想像してしまう。

「銀時、何ですかそれ?」

「コレはアレだ。オメーが仕事でいないとき俺を助ける便利グッズだ」

「はあ」

梅ちゃんはよくわかっていないみたいだ。銀さんに教え込まれているとはいえ意外とそういうことには疎いのか? たまんねェなオイ。

「じゃあ、俺はこの辺で帰るよ。銀さん、梅ちゃん手放すなよ?」

なんておせっかいな親戚のオッさんみたいなことを言いながら席を立つ。

「手放すかよ。……つか長谷川さん帰るトコあんの?」

銀さんはこっちをチラッとみてから、梅ちゃんとイチャつきだした。自分でネタ振っといて何だけど、そういうの俺が帰ってからやってくれるゥ!?

「長谷川さん、また来てくださいね」

銀さんにひっつかれたままの状態でそんなかわいいことを言う梅ちゃんに、若干ムラッときたのは銀さんには秘密だ。

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