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【新八視点】
午後7時半。夕飯の食材を帰ってから万事屋に戻り、現在料理中。
そろそろ梅さんが帰ってくる頃だ。
このところ真選組の仕事が忙しいらしく、疲れた様子で帰ってくる梅さんは、もはや万事屋の家計を支える大黒柱。
それでいて性格的には大黒柱ではなくお淑やかな女性で、ホント銀さんは良い人つかまえたよなァ、なんて思ってしまう。ちょっと抜けてるのは愛嬌だ。
梅さんが万事屋に来てから結構経つけど、僕はたまに"これは夢なんじゃないか"と思ってしまうことがある。
というのも、家賃が払えるようになり、ちゃんとした食事が三食食べられて、銀さんには美人な奥さんが、僕や神楽ちゃんには母であり姉のような存在ができた。時々妹っぽくもあるけど。
料理をしていると、いつの間にかそんなことを考えるのが常になってしまっていた。
早く梅さん帰って来ないかなァ、というのは、この時間帯の万事屋共通の思いだろう。
なんだかんだ考えているうちに料理が完成した。
匂いにつられて来た神楽ちゃんと一緒に居間に食事を運んでいると、玄関の開く音が聞こえてきた。
「梅帰ってきたアルか!」
神楽ちゃんの嬉しそうな声に、銀さんもソファから身を起こした。
僕もエプロンを取ってソファに座り、後は帰って来たばかりの梅さんを待つだけだった。
「…………」
少し待ってみたが、梅さんは現れない。
「さっき玄関開く音しましたよね?」
銀さんたちに確認すると、二人とも不思議そうな表情で頷いた。
どうしたんだろう、と思い、僕は玄関に様子を見に行った。
こういう時、銀さんはあまり動こうとしない。梅さんが強いのを知っているからかもしれないけど、僕は彼女が戦っているところを見たことがないからやっぱり心配だ。まァ、銀さんも心配はしているんだろう。
「梅さん?」
ともあれ、それほど距離のない玄関に向かうと、そこに座る人影を見つけた。言うまでもない、梅さんだ。
「どうかしました?」
しかし様子がおかしい。
梅さんは壁に凭れ掛かるようにして、よく見ると肩を上下させるほど激しく浅い呼吸をしていた。
「どうしたんですか、梅さ――」
彼女に近づいたところで、僕はようやく異変に気付いた。
「だ、大丈夫ですか!? どうしたんですか、その傷……!?」
「し、んぱち、くん」
「喋らないでください! 今救急車呼びますから……!」
梅さんはお腹のあたりから血を流していた。おそらく何者かに斬られたんだろう。
でも今は原因を探っている場合じゃない。僕は急いで居間に戻り、銀さんたちに玄関に向かうように言ってから救急車を呼んだ。