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結局あの後、ソファで一発、和室で一発、風呂で一発ヤッてようやく落ち着いた。
梅はしんどそうにぐったりしているが。
「銀時、元気ですね……」
「おめェ、体力なくなったんじゃねェ?」
「いやあ、今日の昼間は炎天下の中倒れてたんで……」
「は? え、何、倒れてたって。銀さん初耳なんだけど」
そんなん知ってたらこんなに無理させなかった、とは言い切れねェけど、まぁ多少は気遣った。
「あれ、言ってませんでしたっけ」
「ちょっ、どういうことだよ。あ、今は大丈夫なんだよな?」
「はい。ええと、私、今日江戸に来たばかりなんですけど、途中で道に迷っちゃって。それで、迷い込んだ墓地のお供え物の饅頭を失敬したらそれが腐ってたみたいで」
「拾い食いしたのかよ」
「お腹空いて動けなかったんですよー……。たまたまそのお墓にお参りに来た人がかぶき町まで運んでくれて」
「親切な奴もいたモンだな。勝手に供え物食われたってのに」
俺は似たような話を知っている、というか身に覚えがあるが、まァそれはそれだ。
「その人がこの万事屋を教えてくれたんです。あ、お礼言いに行かないと」
「……なるほどな。ンで、その運んでくれた人ってなァ、まさか下のババアじゃねェよな?」
「え? 下のババアって……もしかしてお登勢さんのことですか?」
「…………」
オイオイオイ、あのババア何者だよ。いや、梅を助けてくれたことにはものすごく感謝してるんだけど。何? 坂田発見器でもついてんの?
と、そんなことを考えていたら、何やら視線を感じた。
「……何してんの、お前ら」
新八と神楽が居間の扉を数センチだけ開けてこちらを覗いていた。
「い、いやあ、別に……」
「銀ちゃんたちが乳繰り合ってないか確かめてただけネ」
そう言いながら居間に入ってくる二人と定春。
「ハッ、ガキにみせるにはまだ早ェよ」
「なんかムカつくアル」
神楽はケッと悪態を吐きながらいつものようにデケェ態度でソファに座る。新八も同様だ。
「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
……なんか、静かだなオイ。
「……あの、すみません……私がいたら気まずいですよね、突然来たわけですし……」
梅が謝りだした。それをみた新八は案の定慌て始める。
「いやっ、あのっ、全然! 高杉さんのせいとかじゃないですから! ホント気にしないでください!」
「そうネ。梅がイイ奴なのは昼間わかったアル。私の不躾な質問も嫌な顔一つせず答えてくれたヨ」
「いや不躾って自覚あったのかよ」
「気になるモンは気になるネ」
いつも通り言い合いを始めた二人だったが、一つきき流せねェものがあった。
「新八、おめェ今何っつった?」
「え? 不躾って自覚――」
「もっと前だ」
「いきなりどうしたんですか? もっと前って……"高杉さんのせいじゃない"っていう――」
「"高杉さん"って何だよ、コイツ坂田だから。坂田梅な」
「え? ……ああ、そういうことですか」
新八は何やらニヤニヤし始めた。こっちは胸クソ悪ィ名前をきいちまったってのによォ……。
「銀さん、苗字とか意外とこだわるんですね」
「束縛する男は嫌われるアル」
「こんなん束縛の内に入ンねーからァ! 大体な、梅も何コイツらに"高杉"とか名乗ってんだよ」
「いや、銀時に忘れられてる可能性があったので……」
「え、お前、俺のことそんな薄情な奴だと思ってたの……?」
なんかショックだ。
まァでも? 愛されてるってのはさっき身をもってわかったけどね、文字通り身をもって。ヤベッ、思い出したら銀さんの銀さんがギンギンになりそう……。
……やっぱ今からもう一発――
「何考えてるんですか銀さん、鼻の下伸びてますよ」
「天パキモッ」
「うるせェ! 天パは関係ねェだろーがァァ!」
しかしまあ、俺たちのいつものような小競り合いをみて笑っている梅をみたら、キモかろうと何だろうとどうでもよく思えてきた。
……天パをバカすんのは許さねーけどな。