2
*****
「アーサーさん!」
見慣れた金髪を見つけ亜依は、勢いよく駆けて行く。
「亜依、どうかしたのか?」
「いえ、無性に頭を撫でてもらいたくなったんです」
え、目的それ?
シュラはそう思ったが、もう既に二人の世界絶賛展開中。声なんて届くわけがない。
魔神の憑依よりよっぽど性質が悪いんじゃないかとさえ思う。
「何だ、そんなことか」
「はい! そんなことです」
よしよしと亜依の頭を撫でるエンジェルの抑えきれていないにやけ顔を見て軽く吐き気を催すシュラだったが、まだ報告書を渡していないので立ち去るわけにもいかない。
「……おい」
あまり気の長いほうではないシュラは、若干キレ気味だった。
「ん? あぁ、シュラ。いたのか」
「ふざけんなバカップル」
尚亜依の頭を撫で続けるエンジェルに、ぶっ殺してぇ、と思ったが、彼も一応上司なのでふざけんなで抑える。
「……報告書だ」
書類を差し出すと、意外にも素直に受け取ったエンジェルに少し驚きつつも、突っ込んだら面倒臭そうなのでやめておいた。
「わー、アーサーさんの手おっきい! 気持ちいいですー」
無邪気に頭を撫でられ続ける亜依の笑顔にシュラは若干癒されつつ、その上の人物の顔を見ないよう注意しながら、その場を立ち去った。