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無言で僕の足にしがみつく亜依。
亜依と視線を合わせるため、僕もしゃがむと、今度は腰に抱きついてくる。
「亜依」
頭を撫でると、腕の力が強まった。
「……雪、男……」
小さく名前を呼ぶまどかは、上半身を這うようにして僕に覆いかぶさってきた。
「……したいの?」
そう聞くと、亜依はうん、と顔を赤くしながらも素直に頷く。
亜依はいつも不安が募ると性行為をしたがる。
元々性欲の強い子なのだろうか。
大概し終わると疲れて眠ってしまうのだが。
そんなことを考えながら、亜依の服を脱がそうとすると、
「わたしがやる」
と、口を少し尖らせて言う亜依。途端に抱きしめて撫でたくなる衝動に駆られるが、我慢だ。
亜依が僕の制服のズボンを下ろし、陰茎を噛みつくようにして咥える。少し痛い。
「んん……う……」
室内に淫らな水音が響く。
そういえば、僕と出会う前の亜依はフェレス卿ともこういう行為をしていたのだろうか。
そんなことを考えていると、先端を一段と強く吸われ、僕はあっけなく射精してしまった。
「雪男、他のこと考えてた……」
精液でべたべたな口元を手の甲で拭い涙を零す亜依。声を上げず涙だけが溢れる。
「ごめん。その……亜依は、フェレス卿とも、こういうこと、してたのかなって」
僕も大概女々しいな。
「……してた。でももう雪男としかしない……」
いつも結果だけを言う亜依が、自分の意思を伝えるのは珍しい。
「本当?」
「うん」
「嬉しい」
「うん」
抱きしめると、まどかも抱きしめ返す。
「……雪男……いれたい……」
控えめながらも、少なからず欲望を孕んだ声に、僕も反応してしまう。
抱きつく亜依の腰を掴み、上から跨るような体勢にさせ、少しずつ挿れていく。
「あ……ぁ……っん……」
全部入ると、亜依は短く息をして、腰を振り始めた。
「う、ん……ん……っ」
怒っていても泣いていても笑っていても大声を出さない亜依は、喘いでいるときもあまり声を出さない。
出ないのか出さないのかはわからないが。
「は、ぁ……雪男……っ」
「気持ち良い?」
「……う、ん……っぁ」
「良かった」
照れ隠しで怒るのも良いけど、やっぱり素直な方がそそるなぁ、なんて考えてしまった。