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「ウェイバーくんには、個人的に期待しているの」
「!」
純粋に驚いた。彼女には驚かされるばかりだとウェイバーは思っていたが、今は嬉しさの方が勝っていた。
「驚いた?」
「えっ、あ……はい」
「ふふふ」
小さく肩を揺らして笑った亜依に、ウェイバーは今まで感じたことのないものを感じた。
それから変に緊張してしまって、荷物を持つ手に自然と力が入る。
「あら、その荷物……」
「ああ、さっき、そこでおじさんに渡されて……」
「……聖遺物……?」
「え?」
荷物をじっと見つめた亜依は、確かに"聖遺物"と言った。
「聖遺物って――」
「ウェイバーくん、きっとこれから大変だろうけど、頑張ってね。私にはこれくらいのことしか言えないけれど、期待してるから」
いつもの微笑みの消えた、見たことのないくらいに真剣な表情。
「……はい」
ウェイバーが返事をすると、亜依はいつもの柔らかな表情に戻っていた。
「じゃあ、私はそろそろ行くね」
そう言って、最初と同じように手を振って、ウェイバーとは反対の方向に歩いていく亜依。
「……あ、ありがとうございました!」
自然とお礼が口から出たのは初めてだった。
振り返った亜依は、ウェイバーに笑いかけ、再び手を振った。
ウェイバーも手を振り返し、亜依が背を向けると同時にウェイバーも背を向け、聖遺物のことを一刻も早く調べるため先を急いだ。
ウェイバーはこの時、亜依の手の甲に令呪が刻まれていることに気がつかなかった。
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無駄な伏線。続く予定はありません。
夢主は八人目(捏造)のマスター。