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「……おい亜依」
「何?」
「お前、何勝手にメシ食ってんだよ。ここオレん家だってわかってんのか!?」
さすがにセプター4の寮に美咲は連れて行けないので、美咲の家に押しかけた。
「美咲うるさい」
「テメェ……」
とはいえ空腹ではやることもできないので、食事が優先だ。
「先にシャワー浴びてきたら?」
「うるせえ! 言われなくても――って違ェから! そういう意味じゃねーよ!」
「何も言ってないんだけど」
「チッ……あーもう、わかったよ」
そう言った美咲は、諦めたように風呂場へ向かって行った。
――これを待っていたのだ。
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【八田視点】
「あー……くっそ」
どうしてこうなった。
大体なんなんだよアイツは……! 何しにきたんだよ!
勝手に押しかけてきて、勝手にメシ食って……流されたオレもオレだけどよ……。
……アイツは吠舞羅を裏切った奴で、もちろん嫌いだが、また別の意味では好きなのだ。よくわからないが。
"嫌い"というより、裏切られたことが悔しかったのかもしれない。
オレは本当は吠舞羅でアイツと一緒にいたかったのだから。
「あー……だりい」
「これから運動するのに何言ってんの美咲ぃ」
「あ? っるせーよ亜依……」
浴室のドアの方に顔を向けた。
――って、
「うおぁっ!?」
「ふふ……やっぱり、童貞丸出し」
ニヤニヤという表現がぴったり合う笑い方は昔から変わっていない。
いつもは頭にくるだけだが、今は、
……コイツ、色気ハンパねェ……!
薄いタオルで身体を隠してはいるが、なんていうかもう、それが逆にエロい。
「顔が赤いけどどうしたの? み、さ、きぃ?」
「…………」
「美咲?」
気絶した。