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・労働者:『……しかし、自動人形も肩凝るのか?』
そう打ったとき、少し後悔した。
考えが足りなかったと。
隣の亜依を見ると、言葉には出さないものの、目を伏せ気味に俯いていた。
言い訳のようだが、打ったときは、"巨乳は大変なのか"程度にしか思っていなかった。
そして、連想的に思い出した北条・氏直。その身体は、浅間や葵姉とは違い自動人形だ。
だから彼女はどうなのだろう、と。
その程度の考えだった。
だから俺は、亜依の下を向いた頭に軽く手を乗せ、撫でるように手を後頭部にやり、そのまま強くこちらに引き寄せた。
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私はネガティブだ。そう思う。
氏直さんとは許婚のような関係だったとはいえ、ノリキ君自身がこっち選んだのだ。だから――
と、さっきとは真逆なことを考えていたら、自然と頭が下を向く。
私は面倒な女だ。そうも思う。
私の考えていることがノリキ君に伝わったら、どう思うだろう。
言ってしまえば、これは氏直さんに対する嫉妬だ。
見透かされるなんて恥ずかしい。
そう考えながら、横髪の間から隣のノリキ君を見る。
ノリキ君もこちらを見ていた。
気にしてくれていると、それだけでも嬉しい。
また視線を下に戻すと、同時に頭に何かが乗っかる感覚。
ノリキ君の手だ。
そしてそれは、まるで子供をあやすような手つきで、私の後頭部に回る。
やっぱり、私は子供染みているのだろうかと思った瞬間、さっきまでとは違う荒い手つきで、ノリキ君の方へと引き寄せられた。