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【黒子のバスケ】黛千尋/男主(洛山マネージャー)
※男主受け

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【黛視点】

そいつは、誰がどう見ても"完璧"だった。

成績優秀、眉目秀麗、スポーツも出来て性格も良く、家柄もそれなり。もちろん教師からの評価は高く、大半の生徒から慕われている。実際ついこのあいだまで生徒会長だった。

まあ背は低いが、そこは逆に親近感が持てるとかなんとか女子が言っていたのを聞いたことがある。

そんなラノベキャラにしても濃すぎる完璧さを備えた優等生――登坂裕斗。ちなみに男だ。

だが、裕斗には欠点――と言うべきか――が2つあった。

まあ、これについてはオレ以外他の誰も知らないことなんだが。

ともあれ、事実は小説よりも奇なりというのはどうやら本当だったらしい。

「ちーくん」

いつも通り、屋上でラノベを読んで昼休みを過ごしていた。

こいつがこうして度々オレの元を訪れるようになったのは、確か去年の夏頃だったな。

こいつ、というのは、くどくどと前述した登坂裕斗だ。

「ちーくん。お昼、もう食べた?」

「……"ちーくん"はやめろ」

「ちーちゃん?」

「…………」

「冗談だってば、千尋。お昼は?」

「食った」

そう答えると、自分で聞いてきた割に興味なさそうな返事をした裕斗は、オレの隣にぴったりとくっつくように座った。

「千尋、5限何だっけ?」

「数学。つかお前クラス違うだろ」

「うん。僕は次生物」

ラノベを読み続けるのは諦め、大人しく裕斗に付き合うことにした。

とはいえオレだって何とも思っていない奴をわざわざ相手になんかしない。人に話しかけられること自体稀ではあるが。

学校中に名前が知れ渡っているであう裕斗と、同じクラスの奴にすら覚えられていないレベルのオレがここまで親しい理由はもう察しがついているだろう。……いや、そう簡単に察されたら困るのだが。

回りくどく長々と解説してきたが、言ってしまえばオレと裕斗はいわゆる恋人同士というやつだ。

オレみたいな目立たない男と付き合っているなんて知ったら、こいつに惚れている女子達はどう思うだろうか。まあ、それ以前に男と付き合っているという時点でアレだが。

しかし告白してきたのは裕斗の方で、裕斗が何故かオレに好意を持っていたのも以前から知っていた。周りには気づかれない程度の、しかしオレにとっては露骨なまでのアピールをしてきたからだ。

ともあれ、完璧なこいつの欠点のひとつは、どういうわけかオレに一目惚れをして、告白をしてOKを貰ってしまったことだ。

そしてもうひとつの欠点というのは、

「千尋、あのさ、僕……シたくなちゃった」

こいつはド淫乱だった。

……いや、淫乱というと少し違うか。

裕斗はオレと付き合うまで誰とも交際したことがないという。もちろん遊びもだ。

オレと初めてヤったとき――どっちが上か下かで一悶着あったが、まあそれはそれとして――それ以来、裕斗はどうやら男同士のセックスというものにハマッてしまったらしい。

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