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裕斗に誘われるがまま、音楽室や理科室のある人気のない実習棟のトイレへと足を運んだ。
適当に一番手前の個室に入る。
「おい、あと15分しかないぞ」
「えっ、ほんと? じゃあ急がないと」
こいつにやめるという選択肢はないらしい。
かくいうオレも、ここまで来ておいてやめる気などないが……。
裕斗はフタの閉まった便座に座り、オレのベルトを外した。手際が良すぎるんだが。
そのままズボンとパンツも下ろされ、性器を銜えられる。
「千尋、ちょっと勃ってるね」
「いちいち言わなくていい……っ」
こいつはフェラがめちゃくちゃ上手い。
やり方をネットで調べて棒アイスで練習したとか言っていたが……オレとしてはむしろその練習の様子が見てみたいところだ。
オレのものを銜えながらもいつの間に脱いだのか、自分の性器も扱いている裕斗は変なところで合理的だ。単に我慢弱いだけかもしれないが。
「裕斗、もういい」
「ん……あ、あと10分だ」
「ほら、尻出せ」
口元についた粘液を拭ってやりながら裕斗を急かす。こいつは間に合わなかった時どう言い訳する気なんだろうか。
オレは最悪こっそりと教室に入れば気づかれないかもしれないが……さすがに無理か。
ともあれ、制服のズボンを膝あたりまで落とした裕斗は、壁に手をついて尻をこちらに向けた。
「千尋、早く……」
「ああ」
あまり肉のついていない尻を掴み、入り口――入口ではないが――に自身の亀頭を擦り付ける。
「えっ、あ、やだやだっ、広げないでってば……!」
「広げなきゃ入れられないだろ」
「そういうことじゃなくて……っ、も、何回もやってるんだから見なくてもできるだろ!」
「オレは見たい」
何回か擦ったあと、ゆっくりと挿入する。
「ん、う……っふ、う、んん」
壁についた裕斗の手に力が入っているのが見えた。
「大丈夫か?」
「うん、動いて、いいよ」
後ろから手を回し、裕斗の性器を扱きながら腰を振る。
「……っ、はぁっ、はぁ、あ、ん」
裕斗の喘ぎ声はあまり大きい方ではないが、時々吐息に混じる"つい出てしまった声"がこれ以上ないほど艶めかしいのだ。
それなりに身長差があるため、上半身を密着させるとちょうど首あたりに裕斗の頭がくる。
「裕斗、こっち向け」
「ん、んん、ぅ……」
唇を合わせると、手の中の裕斗のものがびくりと反応した。
「っあ、ち、ひろ、僕もう、イキそう……!」
「ああ、オレもだ……っ」
裕斗は我慢して上擦った声をあげながら、腰を振るわせて射精した。
オレもイく直前に裕斗の中から抜く。まさか制服を着た背中に出すわけにもいかないため、裕斗の股の間から便器に出した。
のだが、
「……あ、フタ開けるの忘れた」
「…………」
賢者タイムもそこそこに急いで身なりを整えた。
そして急いで2人で精液まみれの便器のフタを拭く。シュールな光景だ。
後処理も終わり、あとは教室に戻るだけとなった。
「よし、あと3分! 余裕だね!」
「お前な……」
さっきまでのしおらしさはどこへ行ったのか、裕斗はオレの腕を引っ張り教室棟へと走り出した。