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結果的に授業には間に合ったが、内容はほとんど頭に入ってこなかった。
そして放課後の部活で何故かオレだけ練習メニューを倍にされた。
血走った目の赤司にはさすがに引いたが、ここは大人しく従っておくべきだろう。自分のためにも、裕斗のためにもだ。
……そういえば、裕斗と赤司は幼馴染とか言っていたか。
そんなことを思い出しながらメニューをこなし、マネージャー業に励む准からドリンクとタオルを受け取る。
「あはは、千尋ごめん」
「謝る気、ねえだろ、お前……っ!」
息切れでそれどころではないが。
「千尋、覚えておけ。"次"があるようなら練習3倍だ」
ベンチの前に現れた赤司は高圧的にそう言った。
「征十郎、そんなに怒らなくても――」
「裕斗は黙っていてくれ。誰かに見つかったらどうするつもりなんだ? 実際今日も僕は聞いていたぞ」
「え、やめてよ、恥ずかしいんだけど」
ほんとに恥ずかしがっているのかお前、とツッコミを入れたくなるような真顔だった。
「ああ、せいぜい気を付ける」
「……そのセリフを聞くのは何回目だろうな」
姑かお前は。……口には出さないが。
赤司は裕斗に対して過保護すぎる。
面倒な赤司をなんとか裕斗が説得し、帰路に着いた。
「千尋、今日家来ない?」
「お前、懲りないな……」
「はは、冗談冗談」
まだ一度も行ったことはないが、こいつの家は赤司の家の近所らしいからな。
今日ばかりは御免被りたい。