A-3
【火神視点】
部活に行っても練習には参加できない。だからオレは近くのストリートコートで軽く自主練をしていた。
だが膝の痛みでシュートは決まらず、ボールは転がって行った。
「あれ、ホントにいた。さつきの情報網ってやっぱりすごいのね」
「………!?」
突然独り言のような声が聞こえ、振り返ると、オレのボールを持った女がいた。
身長は黒子と同じくらいか、女子にしてはデカい。
「火神大我……でしょ? 相手して。試してあげるから」
そいつはオレを見て、挑戦的な表情でそんなことを言いやがった。つーか何でオレの名前知ってんだコイツ。
「……あ? 誰だアンタ。名乗りもしねーで相手しろとか、気にいらねーな」
そう言うと、そいつは少しむっとしたような表情をして言葉を続けた。
「あなたの気分は聞いてないんだけど……まあ、名前ぐらいは言ってあげる。――青峰#name2#よ」
青峰……!?
決勝リーグであたる、キセキの世代唯一の女子プレーヤー。
随分生意気なヤツじゃねーか……!
「名前は聞いてるぜ。けどそんな上から物言われて素直にハイなんて言うわけ――」
「はぁ……だから聞いてないの。誰も勝負になるなんて思ってないわ。言ったでしょ、試してあげるって」
呆れたような表情に変わった青峰は、オレが口を挟む間もなく言い続けた。
「私より強い人なんて、存在しないものを探してるわけじゃないから。私の退屈をあなたがどれだけ楽しませられるかってだけの話よ」
見下すようにそう言った青峰。
「……黄瀬といい、緑間といい……キセキの世代ってのはカンにさわる奴ばっかだけど、アンタはそん中でも特別だな。ブッ倒してやるよ」
ここまで言われて勝負に乗らない手はねぇ。
こうして会ってみるまでは女だからなんて思ってたが、そんなことはもう関係なかった。
*****
「話にならないわ。あなた本当に緑間に勝ったの?」
完敗だった。
「テメェ……!!」
「まさか、女相手だからって手抜いたわけじゃ……なさそうね」
つまらなさそうにオレを見る青峰。
「ああ、そうだ、テツがいるんだっけ。だとしたら不憫ね。――彼は影よ。影は光が強いほど濃くなる。つまり輝き次第で彼は強くも弱くもなるってこと」
青峰はそう言いながらドリブルし、
「あなたの光は淡すぎる」
オレが止める間もなく隣を抜き去った。