F-4
【黄瀬視点】
いつも通り学校に着き、いつも通り退屈な授業を聞き流した。
そして昼休み。食堂に向かう途中、廊下の曲がり角で人とぶつかってしまった。
「あっ、すんませんっス!」
相手が女子だったから慌てて謝ったけど、正直ちょっとめんどくさいことになるかも……と、思ったら、
「ああ、すまない」
噂の桃井#name2#だった。
彼女は申し訳なさそうな表情でこちらを見上げている。
「あ、あぁいや、こちらこそすんません、見てなくて……」
「いや、気にしないでいいよ」
そう言って、彼女はオレの横を通り過ぎて行った。
「…………アレが桃っちの妹」
に、似てねーっス!!
*****
食堂。
昨日と同じ一軍レギュラーと、今日は桃っちもいるみたいだ。
「あ、そうだ桃っち。さっき桃っちの妹見たっスよ」
「そうなの? きーちゃん、#name2#と知り合いだったっけ?」
「いや、たまたま廊下でぶつかっちゃっただけなんスけどね」
「そうだったんだ。――ね、かっこよかったでしょ? #name2#」
「え、"かわいい"じゃないんスか普通。女の子でしょ」
「もちろん#name2#はかわいいよ? でもかっこいいの!!」
「相変わらずのシスコンぶりっスね……」
まあ、確かに、桃っちの言う事がわからないワケでもない。
すっきりとした短髪に、桃っちより少し低い声に凛々しい顔つき、というか目つき? でもどこか女の子らしくもある。
桃っちが"愛嬌"なら#name2#ちゃんは"度胸"って感じっスね。いや、どっちかっていうと紳士か。
しかし、
「桃っちとはあんま似てないっスよね。あ、顔は似てるんスけど、雰囲気とか、喋り方とか」
「ああ、ちょっと堅苦しいとこあるよね、#name2#の喋り方。でもそこがいいんだよ」
「そ、そっスか……」
桃っちには何を聞いても褒め言葉しか出てこなさそうだ。
別に貶してほしいわけじゃないけど、"かっこいい"以外の評価も聞いてみたかった。
「緑間っちは?」
「……何がだ」
黙って黙々と食事する緑間っちに聞いてみることにした。
「この前黒子っちが言ってたんスよ。桃っち以外じゃ、緑間っちが#name2#ちゃんと一番仲良いって」
「なっ……別に、仲良くなんかないのだよ」
「緑間君、顔が真っ赤です」
「っ! いつからいた、黒子」
「最初からいました」
心なしか黒子っちの表情がイキイキしているようにみえるんスけど……気のせいっスかね。
「にしても意外っスねー。緑間っちが女の子と仲良いなんて」
「だから、別に仲良くは――」
「あーはいはい。わかるっスよー、#name2#ちゃんのこと好きなんスね。安心してくださいっス、取ったりしないから」
「人の話を聞け!!」