@ 親近感?
【奉太郎視点】
放課後、古典部の部室を訪れると、そこにいたのは#name1#1人だった。
俺が来たのを確認すると、#name1#は読んでいた本から目線を上げて小さく会釈をする。
俺も同じように返し、彼女の正面の席に座った。
俺が思うに、#name1#もまた省エネ人間だ。灰色、というのは里志に言われたことだが、俺は他人にそれを言う気はない。しかし彼女は少なくとも薔薇色ではないだろう。
「ふぁ……」
小さく聞こえた声に、#name1#の方を見ると、あくびをしていた。
持っていたペーパーバックで顔の下半分を隠したまま、目を閉じている。
「眠いなら、帰って寝た方がいいんじゃないか」
「ん……」
#name1#は頷いた。
どうやら眠気のピークが来ているらしい。目をこすってわずかに開けはするものの、すぐに閉じられる。幼児か。
それから#name1#はペーパーバックを閉じてカバンにしまい、そのまま机に突っ伏した。
まさか、そこで寝るんじゃないだろうな。
「おい、こんなところで寝るな」
「……だってぇ……」
顔だけ動かして俺を見上げた#name1#。眠気のせいか舌足らずな返答だ。
小さく寝息が漏れる半開きになった唇に、つい視線を寄せてしまう。
「送ってやるから、帰るぞ」
「…………えっ」
待て、俺は今何て言った?
送ってやると言った。俺が、#name1#を。
「ほんと? 折木が?」
「起きてるじゃないか」
「……びっくりしすぎて起きた」
「なら1人で帰れるな」
「…………」
なんだその目は。
#name1#はじっと俺を見ている。#name1#は基本黙っているが、頭の中はフル回転しているような奴だ。一体今は何を考えている。
「一緒にかえろ」
「は?」
「薔薇色初心者同士、体験コース」
何言ってるんだこいつ。というか、何故薔薇色なんて言葉が#name1#から出てくる? 里志か。
「あの……折木の話、興味ある。私、人と話したいと思ったの、多分初めて、だから……」
恥ずかしいことを言っている自覚があるのか、単に話し慣れていなくて照れているのか。俺にその判別はつかないが、なかなか見応えのある表情だった。