@ 00本編-1
【ロックオン視点】
「新しいガンダムマイスターを連れてきたわ。コードネームはエイダ・グラント。GN-100のパイロットになる予定よ」
ミス・スメラギによって格納庫の通路に集められたのは俺とアレルヤ、ティエリアのマイスター3人。
紹介された女性を見て、最初に反応したのはアレルヤだった。
「待ってください、スメラギさん。女性を搭乗させるなんて危険なんじゃ」
「彼女はヴェーダに選ばれた人材よ」
「しかし……」
エイダ・グラントーー彼女はアレルヤを見て、挑戦的ともとれる笑みを浮かべた。
「心配には及びません。私はMSの操縦経験があります」
「えっ? 一体どこで――」
「はいはい。気になるのはわかるけど、守秘義務があることは忘れないように」
ミス・スメラギに軽く窘められ、アレルヤとエイダは素直に口を閉じる。
「それじゃ、マイスター同士仲良くね」
と、主に俺を見てそう言ったミス・スメラギは、エイダを残してメインブリッジに戻って行った。
……年長者としてみんなをまとめておけということか。
「とりあえず、自己紹介だな。俺はロックオン・ストラトス。よろしくな、エイダ」
「僕はアレルヤ・ハプティズム。ええと、さっきはごめんよ。これからよろしく」
「……ティエリア・アーデ」
「よろしく頼みます、先輩方」
「おいおい、固いなぁ。もっと気楽に、な?」
ここは武装組織だが、軍隊みたいに上下関係に厳しくはない。もっとフランクでいい、とウインクしてみせれば、彼女は数度瞬きをしてからその細い顎に手をやり、何か考えるそぶりを見せた。
「――わかった。では早速、私の乗る機体を教えてほしい!」
エイダは格納庫に並ぶガンダムを見回した。
と同時に、
「用が済んだなら俺は戻らせてもらう」
「あっ、ティエリア」
アレルヤの静止もむなしく、ティエリアは戻って行った。
「彼はいつもああなのか?」
「ああ、まあね……」
「そうか。私の態度が気に障ったのかと思ったが」
「気にすんなよ。あいつは不器用なんだ」
なるほど、とガンダムの方に向き直ったエイダは本当にもう気にしていなさそうだ。
「それで、GN-100とはあれか?」
彼女はグレーのカラーリングが施されたガンダムを指さした。
「ああ、そうだ。GN-100、ガンダムアトラス。よくわかったな」
「あれが一番良いと思った」
「どういう理屈だよ……」
「理屈などないよ」
そう即答して、新品のおもちゃを与えられた子供のように目を輝かせてガンダムを見つめるエイダ。
その後ろでアレルヤと顔を見合わせ、どちらからともなく苦笑した。
「見かけによらずおてんば娘だな、こりゃ」
「みたいですね」
ポニーテールにまとめられた少しくせのある金髪に、挑戦的な光を宿した大きな碧眼。そして女性らしいしなやかな体躯に、ピンと背筋が伸びて堂々とした立ち姿。
エイダは大人の女性の魅力を備えつつも、少女のように天真爛漫な雰囲気を持つ不思議な人だった。
「……ロックオン、アレルヤ。私は重大なことに気づいてしまったよ」
「えっ? なんだい、重大なことって」
「機体に関することか?」
「ああ。私は……」
彼女の乗る機体ーーアトラスを見つめていた瞳が、俺たちの方を振り返った。
「私は……左利きだ」
ガンダムは、パイロットの選定よりも先に設計されている。そのため暫定的にだが右側にメイン武装が装備されていた。彼女はそれに気づいたらしい。
「…………それは大変だ」
「…………おやっさんに、言っておこうか」
確かに重大なことではあるが、そんなに深刻そうな顔で言うな。と、アレルヤと2人してずっこけそうになった。
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