@ 00本編-2
【沙慈視点】
最近隣に引っ越してきた少年、刹那・F・セイエイ。僕はてっきり彼は一人暮らしだと思っていたんだけど……。
「こんにちは、刹那。と、そちらは……?」
廊下でたまたま見かけた刹那は、見慣れない金髪の女性を連れていた。
人種も違うことから家族ではないだろうけど、そうなるとこの方は一体……?
「はじめまして。私はエイダ・グラント。刹那とは、そうだな……親しい仲にある、と言っておこう」
「おい」
刹那より少し背の高いエイダさんは、刹那の肩に腕を回してそう自己紹介をした。
予想外の関係に戸惑いつつ刹那を見ると、彼はむっとした表情でエイダさんを睨んでいる。照れてるのかな?
「僕は隣に住んでいる沙慈・クロスロードといいます。……驚いたよ、君にこんなに綺麗な彼女さんがいたなんて」
「世辞はいい」
エイダさんは刹那から離した腕を組んで謙遜した。あんまり謙遜しているようには見えなかったけど……まあ、言われ慣れてるんだろう。
そうこうしているうちに、刹那は溜息を吐いてさっさと部屋に入っていってしまった。
「フラれたね」
「あはは……照れてるんじゃないですか?」
「もしそうであれば面白いが。……沙慈くん、君は刹那とは仲が良いのか?」
「え? いやあ、仲良しってほどじゃないですけど、会えば挨拶くらいは」
エイダさんは部屋に入らなくていいのかなと思いつつ、会話を続けていた。見た目は大人っぽいのにどこか親しみを感じる、なんだか不思議な雰囲気の人だ。
「そうか。今後とも仲良くしてもらえると嬉しいよ。では、私も失礼するーー」
エイダさんが刹那の部屋に入ろうとドアノブに手をかけると、ガチャンという金属音が鳴った。
「沙慈くん」
「は、はい!」
「この仕打ちをどう思う」
「え、ええと……」
ドアの鍵を、内側から締められてしまったみたいだ。