@ 002期本編-1
アロウズがカタロンの隠れ家をオートマトンで制圧した後。
ケルディムはアロウズの機体を執拗に狙っていた。
そんななか、ケルディムにアヘッドから有視界通信が入る。
【ロックオン視点】
突然入ってきた通信に、思わず攻撃の手を止めた。
『緑色のガンダム、狙撃を続けろ! 狙いを私の機体に!』
「はぁ!? 何言ってーー」
『この機体を落とせ!』
すぐに切られた通信画面に映ったのは見ず知らずの女。そして自分を狙えと言っている。意味不明だった。
しかし、カタロンの同志にあんな真似をした連中だ。どういうつもりか知らないが、
「お望み通り、落としてやるよ……!」
俺はその機体に向けてGNライフルを向け、狙い撃った。
数発当たったが、どれも致命傷を避けて意図的に被弾しているように見える。
「なんなんだ、あいつは……」
他の敵MSはすでに帰投しており、カタロン基地は壊滅。そしてあのMSはトレミーの近くに墜落していた。
……さすがにこれは、報告しておいた方がいいよな。
トレミーに通信を入れる。
『ロックオン、何かあったの?』
「ああ。すぐ近くに落ちてる、アロウズのMSの様子は?」
『特に動きはないな。大破はしていないが、機能停止しているみたいだ』
ラッセからそう返答が来る。
「さっきその機体のパイロットから、"自分を落とせ"と突然通信が入った。どうもわざとやられたみたいだ」
『どういうことだ? そのパイロットに見覚えは?』
「ねえよ。けど、顔に傷のある金髪の女だった」
戦場じゃなきゃディナーにでも誘ってたかもな、とはさすがに言える空気じゃない。
スメラギさんはフェルトたちと顔を見合わせて、少し迷ったあとで言った。
『パイロットを回収してトレミーへ』
「捕虜にするのか?」
『いいえ。でも、もしかしたら……』
結局、彼女は詳しく答えず、パイロットの扱いは丁重にと指示を加えて通信を切った。
引っかかる部分はあるが、とりあえず指示に従いMSに近づいた。
コックピットあたりの装甲を無理矢理引っぺがして中の人物を確かめる。
『おーい、生きてるか?』
外部スピーカーから呼びかけてはみたが、気を失っているのかパイロットは横たわったままだ。
周囲に敵はいない。俺もコックピットハッチを開けて、相手の機体に乗り込んだ。
そして、モスグリーンのパイロットスーツを纏った女を抱き上げてヘルメットを外す。
「……パイロットにしとくにはもったいないな」
*****
謎の女をいちどケルディムに乗せてトレミーへ戻ると、出迎えたフェルトは女の顔を見るなりすぐに医務室に行くよう急かした。
「エイダ、やっぱり……! どうしてアロウズに……」
「エイダって、この子の名前か? 知り合い?」
心配そうな表情のままフェルトは頷き、それから衝撃的な言葉を口にした。
「……コードネーム、エイダ・グラント。彼女は私たちの仲間……ガンダムマイスターだった」
*****
スメラギさんに報告してくると言って、フェルトはメインブリッジに戻って行った。通信を使えばいいはずだが、彼女も予想外のことに少し混乱しているようだ。
医務室といってもドクターがいるわけじゃないらしい。ベッドにエイダを横たわらせて、俺はただ様子を見ていた。まさか服を脱がせて怪我を確認するわけにもいかないしな。
「……フェルトは行ったか」
眠るように閉じられていた両眼が、突然ぱちりと開かれたと思ったら、思ったよりもはっきりと言葉が飛んできた。
俺は驚きを隠しつつ返答する。
「おいおい、あんた、起きてたのかよ」
「! ……君は……もしかしてライル・ディランディか?」
俺の顔を見たエイダは大きな碧眼を見開いて、意外なことに笑ってそう聞いてきた。
「ロックオン……いや、ニールから聞いたことがある。君は彼の双子の弟だね?」