@ タケミチ

【武道視点】

放課後、昇降口でたまたま会ったヒナと帰る途中、なんとなく寄った公園。

かつてキヨマサ君が喧嘩賭博を開催していた場所だが、マイキー君がやめさせてからは平和を取り戻している。

ヒナがトイレに行っている間ボーっと景色を眺めていると、セーラー服の女の子が俺の方に歩いてきた。

「もしかしてアンタ、"タケミっち"ですか?」

「……え?」

ポニーテールを揺らす小柄な美少女に、何故かそのあだ名で呼ばれて困惑する。

「違ぇの?」

美少女は不機嫌そうにガンを飛ばしてきた。こ、怖ェ!?

「は、はいッ! 花垣武道です!!」

「ふーん」

ポニーテールの美少女の横にはショートカットの美少女がいて、俺の方を見てはいるものの興味なさそうにしていた。

「えっと、君は何で俺のこと知ってるの?」

「マイキーに聞いたんですよ、新しいダチができたって。どんなヤツかと思って探してたんですけど、アンタで合ってます?」

「マイキー君と知り合いなの!? 君が!?」

「何か文句あるんすかぁ?」

「ないですすみません!!」

胸倉をつかまんばかりに詰め寄ってきたかわいらしい顔だが目つきがヤバすぎて全然かわいくなかった。

「#name2#ちゃん、やりすぎよ」

「あ。……あー、すいません。アンタみたいな男によくナメられるんで、つい」

ショートカットの子が止めたことで思いのほかあっさり解放されたけど、一体何なんだこの子は。

「あなた……花垣君でしたね、許してあげてください。あと、できればうちの#name2#ちゃんと仲良くしていただいても?」

「ちょっと、余計なこと言わなくていい」

#name2#ちゃんと呼ばれたポニーテール女子は慌ててショートカット女子の口を塞いだ。

「仲良くするのは全然いいんスけど……2人はマイキー君の知り合いなの?」

「チッ……これだから男は……」

ショートカット女子が舌打ちをしながら俺を睨む。だから怖ェって! さっきまでのお嬢様風の態度は何だったの!?

「この方――サザナミ#name2#ちゃんは渋谷を仕切るレディース"楽園エデン"の総長よ。私は副総長の近衛コノエ伊織イオリ

「レディース!? こんなかわらしい感じの女子が!?」

「あなた不良のクセに楽園エデンを知らないなんて……ナメやがって……!」

ショートカット女子、もといイオリちゃんが怒っているのを横の#name2#ちゃんは溜息を吐いて見ていた。いや止めてあげてよ。

「マイキーが迷惑かけてません? あの人だいぶ気分屋だし、勝手なことするでしょ」

「あ、あはは……」

#name2#ちゃん、最初に話しかけてきた時は怖い人だと思ったけど、意外と冷静だ。

「確かにマイキー君は何考えてるかよくわかんないけど、俺、東卍トーマンの人たちのことはカッケェなって思いますよ」

「へぇ、ずいぶん仲良くなったみたいですねぇ?」

「えっ」

急に#name2#ちゃんの雰囲気がピリついた。え、俺なんかマズいこと言った!?

「もう、#name2#ちゃんってば。男相手に嫉妬なんてしても無意味よ?」

「嫉妬? ……もしかして、#name2#ちゃんってマイキー君のことーー」

その続きを声に出すのが申し訳なくなるくらい、#name2#ちゃんの顔が赤くなっていた。いやわかりやすッ!?

「違いますけど。マイキーはただの友達ダチですけど。腹立つ顔しないでもらえます?」

「ところで花垣君、あそこでずっとこちらを覗き見ている女の子は、花垣君のお知り合い?」

殺気だつ漣さん(迫力はない)を抑えつつ俺に話しかけてきたイオリちゃん。彼女の指差した先には木陰からこっちを覗くヒナがいた。

「ヒナ!」

「タケミチ君って、女の子の友達多いんだね」

「別に友達ダチじゃねぇですよ」

駆け寄ってきたヒナの言葉に光の速さで#name2#ちゃんが否定した。悲しい。確かに初対面だけど、さっきイオリちゃんに"仲良くして〜"みたいな感じで言われてたし仲良くしようと思ってたのに。

「ヒナ、この人たちはマイキー君の友達なんだ。それと……」

#name2#ちゃんはおそらくというかほぼ確定でマイキー君のことが好きだ。俺への浮気疑惑を晴らすためにもヒナには言っておかないと、と思って小声で伝えると、ヒナは目を輝かせた。

「そうなんだ! 私、橘日向。よろしくね!」

「この方は総長の漣#name2#ちゃん。私は近衛伊織、副総長よ」

「総長? えっと……?」

「イオリ……橘さんは明らかにそういう感じじゃねぇでしょ」

「あっ。やだ、失礼したわ。女の子同士仲良くしましょう?」

「う、うん」

勢いでヒナの追求を逃れたイオリちゃん。男には厳しいけど同性であるヒナにはさっきみたいなとげとげしい雰囲気は見せなかった。

「イオリ、そろそろ帰りますよぉ」

「もうそんな時間? 門限っていやね。ヒナちゃん、またお話しましょう?」

「うん、ぜひ! 今度は#name2#ちゃんももっとお話ししようね! 聞きたいこともあるし」

「聞きたいこと?」

「マイキー君のこととか」

「っ、おいタケミっち! 余計なこと言いやがりましたねぇ?」

「ひぃ! ごめん! でもその反応、やっぱり好きなんだ……」

#name2#ちゃん、怒ると怖いけど何となくからかいがいがあるっていうか、素直になれないところが応援したくなるんだよなぁ。小さいし。

「もう、タケミチ君、いじわる言いすぎだよ」

「ごめんって」

ヒナに怒られたので謝っておいた。

*****

「お、タケミっちじゃん」

渋谷を歩いているとマイキー君とドラケン君の2人を見つけた。

「マイキー君、ドラケン君!」

「相変わらずヒマそうだな」

出会い頭にドラケン君にディスられたけど、今日はちょうど聞いてみたいことがあったので反論しないでおく。

「そういえばマイキー君、漣#name2#ちゃんって子知ってます?」

「#name2#? あーうん。俺の女だけど」

「お前、#name2#と知り合いだったのか?」

さも当然と言った感じで"俺の女"とか言い出したマイキー君。2人とも知り合いのようだけど、その態度は照れまくっていた#name2#ちゃんとは真逆だ。

「この前、ヒナと一緒にいたら偶然声かけられて……」

知り合った時のことを話した。

「あの2人――#name2#ちゃんとイオリちゃん、レディースだって言ってたんスけど、本当なんですか? ケンカとかするようには見えなかったなぁ」

「ま、レディースっつっても、積極的にしかけるタイプじゃねぇな、アイツらは」

「でも#name2#は強いよ」

「へぇ〜、全ッ然想像つかない」

マイキー君やドラケン君も認める強さだったなんて驚きだ。

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