A 雨取-2

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神社から無事出ることができ、修くんに呼ばれていた河川敷まで杏子さんに送ってもらっている。

助けてもらった上に送ってもらうなんてと思い最初は断ったものの、"本部の指示だから"と言う杏子さんはわたしの手を取り歩き出していた。

河川敷に着くと、何やら自転車に乗る練習をしているらしい白髪の男の子がいた。

と、思っていたらすごく派手に転んでしまっていた。

「だ、大丈夫!?」

思わずその子に近寄ったら、思いの外ケガはなさそうで安心する。

「お〜、ホントだ、ケガしてない。受け身がうまいのかな? すごいね〜」

「杏子さん……」

そういう問題なのかな? と思っていると、スマホの着信音が鳴った。修くんからだ。

もうすぐ着くという連絡だったので、修くんを待つ間、わたしと杏子さんは白髪の男の子の練習を手伝うことにした。

と言っても、自転車の荷台を掴んで押すだけだったけれど。

でも手を離したらそのまま川に落ちてしまい、ずぶ濡れで戻ってきたその子に驚かされつつ、自己紹介をしていた。

そしてずぶ濡れになったわたしたちを杏子さんがハンカチで拭いてくれる。

「ありがとうございます。ごめんなさい、ハンカチ濡らしてしまって」

「そのためのハンカチなので〜」

「あ、おまえ名前は?」

「出水杏子。杏子でいいよ〜」

「そうか。おれは空閑遊真」

「遊真くん、杏子さんは大学生なんだよ」

「だいがくせい? 年上ってことか。それは失礼しました」

「タメでいいよ〜、千佳ちゃんもね」

なんだかそれは恐れ多いな、なんて思っていたら、また"あの"感覚があって、とっさに振り向いた。それと同時に警報が鳴る。

「千佳ちゃん、離れよっか〜。じゃあね遊真くん」

また杏子さんに手を引かれて河川敷から警戒区域の方へ移動した。

「千佳ちゃんのその探知みたいなのって、サイドエフェクト?」

「えっと、わからないです……なんとなく、気配みたいなのがわかるんですけど」

「そっか。どのへん?」

「そこまではっきりは……ごめんなさい。でも、ここまでくれば街の方にはいかない、ですよね……?」

「ん〜、そうだね。わたしもいるし、こっちに来るよ」

「杏子さんもいるし、って?」

「わたし割とトリオン多いから。多分千佳ちゃんもそうだと思うよ、サイドエフェクトもあるし。あ〜、近界民ネイバーホイホイみたいな? そんな感じ。仲間だね〜」

わかるような、わからないような。

でも確実に気配と一緒に大きな足音も聞こえてきていた。

近界民ネイバーがもうちょっと離れたら、わたし行くね」

「はい……」

小声で話していると、突然わたしのスマホが鳴りだした。きっと修くんからだ、待ち合わせ場所にいなかったから、心配してかけてくれたんだ。でも、

どうしよう、気づかれるーー!

建物が壊される大きな音と、壊れた建物から出てくる近界民ネイバーの頭。

それをわたしは遊真くんに抱えられて見ていた。

「遊真くん……!? 杏子さんは!?」

「大丈夫。――レプリカ、トリガー使っていい?」

遊真くんの話しかけた先、頭上に黒くて丸い何かが浮いていた。何故かそれが喋っている。

『付近でボーダーが戦闘を開始している。トリガーを使うのはまずい。今オサムがこちらに向かっている』

「おっ、じゃあオサムに任せるか」

オサム、という聞き覚えのある名前に首を傾げた。

「というか、杏子はどこだ?」

『おそらくあの瓦礫の下だろう』

「えっ、が、瓦礫って、そんな……!」

「大丈夫。おれが見たときはもうトリガー起動してたし、瓦礫くらいじゃケガしないだろ」

「でも……っ」

わたしが慌てていると、遊真くんたちが見ていた瓦礫が内側から動くのが見えた。

「ぷはっ、埋もれた〜……」

「杏子さん!」

瓦礫から出てきた杏子さんは遊真くんの言った通り無傷のようだけれど、やっぱり心配だった。

「やっぱり無事だったな。良かった」

「ほんとに良かったです……」

「千佳ちゃん無事でよかったよ〜。遊真くんもありがとー、でも、人間の動きじゃなかったね」

「! ……いえいえ、それほどでも」

「っていうか、あの子もボーダー? あっちにいるメガネの」

「ああ、オサムだな。おー、やるじゃん。さすがB級隊員」

近界民ネイバーを倒した修くんがこっちに気づき、わたしを呼んだ。

「千佳!! なんでおまえが警戒区域に入ってるんだ! バカなことはやめろ!」

「ごめん、街のほうにいたらあぶないと思って……」

「あれ、千佳ちゃんの知り合いだった〜?」

「あ、はい。そうなんです」

「……ええと、この子は? 千佳の友達か? というか、その格好もしかしてボーダーのーー」

「落ち着けオサム」

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ〜。わたし出水杏子、ボーダーのB級隊員です。千佳ちゃんと遊真くんはさっき友達になったとこ〜」

「そうだったのか。ぼくは三雲修。千佳の幼馴染で、空閑とはクラスメイトなんだ」

あ、修くん、杏子さんのことわたしの同級生だと思っているのかも……。

「……そうだ、空閑、レプリカ。二人の知恵を貸してくれ。千佳は近界民ネイバーを引き寄せる人間なんだ」

「ふむ……?」

訂正する間もなく話が変わってしまった。

「あ、その話ならわたし分かるよ〜」

「本当か!? 出水さん、詳しく聞かせてくれ」

『話をするなら場所を変えよう、オサム。付近に他のボーダーがいる』

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