無自覚匂わせ禁止令
【帝統視点】
「帝統、ボクの言いたいこと、わかるよね?」
「へ?」
突然乱数の事務所に呼び出されて、行ってみたら一言目からこれだった。
「お、俺、なんかしちまったのか?」
「なんかじゃないでしょ、何これ!?」
いつもおちゃらけている乱数にしては珍しく焦っていた。
乱数が見せてきたのはスマホ画面で、SNSを見て何か怒ってるみたいだ。
よく見てみると、そこに映ってるのは乱数に言われて作った俺のアカウントの投稿画面。
この前、明歩がつくってくれた目玉焼きの黄身が三つ子になってたから、すげーと思って撮って投稿したやつだった。
「これがどうしたんだよ?」
「お前いつの間に女作ってんだよ!!」
「それを乱数が言いますか……」
俺がツッコむ前に幻太郎がツッコんだ。
「幻太郎いたのか!?」
「ええ、いましたよ。小生は昨日から連絡していたのに、一向に返事を寄こさず乱数の連絡でやっと来たものですから、正直はらわた煮えくりかえってます」
「えっ、わりぃ! でも連絡なんか来てねえよ?」
「もちろん嘘ですけど」
「お前なぁ〜〜! つーか乱数何とかしてくれよ!!」
*****
【幻太郎視点】
帝統は本当に見ていて飽きない人ですねぇ。
とはいえ今回は小生もさすがに驚きました。
とりあえず作るだけ作ってほとんど放置していた帝統のSNSが突然更新されたと思ったら、明らかに誰かの部屋で撮られていて、明らかに誰かがつくった料理の写真だったものですから。
それはもう騒ぎになっていましたよ。
彼女がいたのか、家があったのか、なんて言われたい放題だというのに、当の本人はまるでその騒ぎを一切知らないようだ。
「で、そのおいしそ〜な目玉焼きは、誰がつくったの?」
乱数はいつもの調子に戻り、帝統を尋問し始めていた。
「誰って……」
「彼女?」
「ああ」
「ふ〜んそうなんだ! いつから付き合ってんの?」
「先月? くらいだな」
「え〜なんで教えてくれなかったの〜!? ボクたちポッセじゃん」
「まあ、タイミングなかったしな。そのうち会うだろ思ってたら意外と会わなかったんだよ」
「もう、しょうがないなぁ。それで、帝統のオネーさん、かわいいの?」
「かわいいんじゃね? つか、エロい」
「うっわサイテー」
「んだよ、別にいいだろ!」
なんで恋バナ大会みたいになっているんだ。
とはいえ、正直なところ小生も帝統の恋人なる女性には興味がある。一体ヤツのどこがよかったのか。
とりあえず、このまま乱数が探りを入れ、帝統がバカ正直に答えていくところを観察してみましょうか。
「でもまあダイス、年上に好かれそーだもんね」
「いや、年下だぜ。つっても1コしか変わんねーけど」
「犯罪じゃん。ポッセ解散だね」
「なんでだよ!?」
「えっ、まだ手出してないの?」
「いやっ、それは……ヤったけどよ……」
「そっか。帝統、ヨコハマ行こっか」
「だからなんでだよ!? 合意の上だっつの!」
この男、本当に後先考えずに生きているな……。しかしこうなると相手が一体どんな人間なのか、ますます興味深いですね。
押しに弱いタイプなのか、帝統と同じくノリで生きているタイプなのか、それとも……ふふ。
「何笑ってんだよお前」
「おや、これは失礼」
若干むすっとした表情の帝統に指摘されて、自分が笑ってしまっていたことに気付いた。
「一体相手がどんな方なのか、少し気になりましてね」
「じゃあじゃあ、今からそのオネーさん、帝統に呼んでもらおうよ!」