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「え、ど、どうしたの花村くん?」
「いや、その、すんません」
「え、あ……うん」
チラッと明坂を見ると、不安そうな顔をしていた。
俺は瞬時に顔を上げる。
「っわ。ど、したの?」
「俺な、その、明坂」
「う、うん」
「す、すすすすきだ」
「え」
「好きだ! 明坂! 付き合って!」
「……え」
俺は勢いよく椅子から立ち上がり、明坂の肩に手を置いて、そう言った、いや、告白した。
瞬間、ざわつきが消えた。
――……ん? ざわつき?
「……あ」
「花村くん」
「……はい」
「気づくの、遅い」
「…………はい」
*****
放課後。
帰りのHRを終え、帰ろうとしていたところに奇襲してきたのは、里中と天城、そして相棒だった。つまりいつものメンバー(明坂を除く)だ。
「おっす花村ー」
「花村くんもう帰るの? 今日は早いんだね」
「送っていこうか?」
女子二人の目が帰るなという念を送ってきている。そして相棒よ、それはなんつーか違うんじゃないのか?
「昼休み」
「うっ……や、やっぱり?」
「残念な告白したらしーじゃん?」
にやにやとする里中天城コンビ。正直やっかいだ。
「で、どうだったの? 亜依ちゃんは」
「何で明坂だって知ってんだよ!?」
俺が残念告白をやらかしたってことしか伝わってないはずじゃ……?
「はぁ? アンタが亜依のこと好きなのバレバレだって知らなかったの?」
「え!? バレてたんですか!?」
「意外と鈍いんだな、花村は」
「瀬多ぁ……!」
「で! どーだったのよ!?」
「……その……オ、オッケー、だって……うわ! 恥ずかし! 俺超恥ずかしい奴じゃん! こっち見んな!」
「花村慌てすぎ。いやーしかし亜依もよくオッケーしたよね」
「ね、花村くんのどこがよかったの?」
「え、それは、その」
「その聞き方ひどくね? って、あれ? 明坂? 何でいんの!?」
「え、あ、瀬多くんがこっち来いって……」
「瀬多ァー!!」
いらんことしやがって!
「んじゃ、詳しいことはまた今度聞くとして、今日は二人で帰ったらー?」
「えっ、ちょ、里中サン!?」
そんなこんなで、里中達は帰ってしまった。
「……か、帰ろうか」
「……うん」