9日*


 伯寧はあまり料理できない人だけど興味はあるみたいで、私がご飯を作っているのをよく斜め後ろから見ている。最初は真横にいたけど、動くのに邪魔で、いつだったかイライラしていた時に「ちょっとごめん邪魔」って言ったら悲しそうな顔をして、それ以来斜め後ろで見るようになった。見るのは諦めないんだなと思いながら斜め後ろならあまり邪魔にならないから許していたし、そこまで興味あるならと思い、一緒に料理を作ってみるか提案したらえらく喜んでいた。だから今日は一緒に肉じゃがを作る日だ。肉じゃが作るよって言ったら、えっ…肉じゃが……?みたいな顔をされたけど。確かにたまに何かを作ったかと思えばダークマターを生成するような人だから、料理の定番である肉じゃがを作るなんて思いもしなかったのだろう。肉じゃがは意外と簡単にできることを今日で知ってもらえたらいいんだけど。
 結果から言うと、意外と簡単な肉じゃがのはずなのに、何度「ちょっと待って!」を言ったことか。野菜の切り方から、火加減や、味付け、全てにおいて一旦作業を止めてきちんと説明しなきゃいけなかった。特に火加減は油断するとすぐに火力マックスにしてしまうから、その都度つまみはここ以上は絶対に回さないで!と強めに言わないといけなかった。まあこれでダークマターを生成する原因がわかったから伯寧が言うことを聞いてくれれば今後ダークマターが生成されることはないはずである。野菜の形は少し歪だけど、美味しそうに出来上がった。伯寧は出来上がった肉じゃがを嬉しそうにお皿に盛ってテーブルに置き、写真を撮り始めた。

「写真撮るなんて珍しい」
「同僚に自慢するんだ!」

 初めてお手伝いができた子供のように笑う伯寧を見て、とても大変な調理時間だったけど、ちゃんと教えた甲斐があったなと思う。撮り終えてスマホを置いた伯寧に、食べようか、と言って、二人で手を合わせていただきますと言った。


20210309

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